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きょとんとしてしまった。ふたりは憐れむような目を向けてくる。なんでしょうか?
ダストくんがあぐらをかいた。低声でぼそぼそと説明してくれる。
普通、髪が短い男は、飾り立てているもの。髪飾り、耳飾り(と聴こえた)、腕環、指環などで。
髪が短くて飾り立てていないのは、結婚適齢期の女性。結婚できる年齢になると髪を短くして、装飾品を着けなくなる。結婚相手が決まったら、婚約していることが解るように特別な飾りを頭につける。
「もうすたれてはきてるけどさ。この辺はそういうの気にするんだ」
ダストくんは被っていた布をのける。
成程、焦げ茶色の髪には、ビーズや羽根を編みこんである。それに長い。みぞおちくらいまである。
ついでに、ダストくんは両耳あわせていつつのピアス、両手合わせてななつの指環、いつつの腕環もつけていた。じゃらじゃら音がしてるなあと思っていたのだ。
「昔は化粧もしたらしいけど、最近じゃ流行らねえ」
「といっても、やっぱりそういう格好だと、そわそわしてしまう。なので、息子が髪に飾りをつけるのを許してくれないかな?」
……女装してると感じるのかな? へえー。
いいですよと云った。ダストくんが飾りを編み込んでくれる。髪が短いので苦労していた。耳に穴を開けずにつけられる飾りはないのか、とは思ったけれど、ピアス穴がないなら髪飾りをつけよう、と思考が働くのなら、ないのだろう。
化粧ってどんなの? と訊くと、身振り手振りで教えてくれる。隈取みたいな?
十分くらいで完成した。ついでにこれもつけときなさいと幅広の腕環をふたつ渡される。ぶかぶかだったけど、つけておいた。きんぴかできらきらだあ。
「ありがとうございます。ちゃんと返します」
「いや。恩人だからね。君にあげるよ」ナジさんは苦笑らしいものを浮かべる。「少なくとも裾野ではつけていたほうがいいな。見慣れない、異質なものだから」
また、地名らしいのが出てきたな。どうしよう? 訊いたほうがいいのか?
迷っていると、隅のほうに置いてある麻袋が倒れた。「ありゃ」ナジさんが駈け寄って起こす。袋の口からぽろんとやすでが落ちた。
やすで?
指摘戴いたので、耳飾りについて加筆しました。