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でも、見られるリスクは冒せないので、ふたりから距離をとった。近寄ってきたら気配とあしおとで解る筈。
水面に顔を映した。
かすかに揺れる水に、文字が浮かぶ。
マオ・クニタチ 年齢:24 等級1 体力:可 魔力:ゆう
職業:魔王
職業加護:魔物退治 状態いじょう無効 しえき
特殊:あしき魂 収納空間/せい限なし げんご???じょうげんに達しています
なんか文字が崩れてるけど……ところどころ読めないし。
魔法一覧もあるが、下のほうが見切れている。スクロールしたいなと考えたらできたし、詳しい説明も(文字が抜けていたり崩れていたりはするが)、読もうとしたら表示される。便利かよ。
「マオ」
ダストくんが向こうを向いたまま云う。「等級いくつ?」
「いち」
笑われた。
湖から距離をとると文字が消える。
ダストくんのところまで駈け戻って、背中をはたいてやった。ダストくんはけらけら笑う。ノーダメージか。
ハーバラムさんが笑い含みに云った。「じゃ、お水を戴いて、帰ろうか」
お水?
参拝とはそういうものらしく、ダストくんとハーバラムさんは慣れた様子で水を汲む。
ふたりとも持っているあき壜へ水を汲む。その水を傍のくさむらへ撒き、再び汲んで、栓をした。
同じように、からの壜へ水を汲んでくさむらへ撒き、再び水を汲んで栓をする。こういう作法なのだろう。
「これって、飲むの?」
「飲んでもいいけど、等級を慥かめたい時につかう」
首を傾げる。ダストくんは壜を揺らす。
「この水で目を洗って、適当な器に残りの水を張る。覗き込むと、名前、年齢、等級、体力、魔力だけうつるんだ」
ああ、そっか。
この世界のひと達は、メニュー画面を見れないみたいだし、魔物と戦ったりしてレベルが上がってもすぐには解らない。でも、すぐには井へいけない時もあるだろう。簡易的にレベルを確認する手段なのだな。
「不思議なことに、これは戴いた当人にしかつかえないんだよ」
「神降ろしが汲んだ水なら万人がつかえるんだってさ。レントみたいな大きな町には売ってる」
へえー。
壜を仕舞って、揃って湖へ一礼し、再び建物内へ足を踏みいれた。来た時とは逆の廊下を進む。
「そういや、体力はどうだった?」
「可」
むくれた。「魔力はゆうだから」
ハーバラムさんが目を瞠ってこちらを見た。
「魔力が優? 凄いじゃないか」
「凄いな。入山できるよ」
「え、そうなの?」
そういえば、魔王との戦いで特別に編成された魔導士部隊も、魔力優以上で固められてたっけ。




