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異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない  作者: 弓良 十矢 No War
買いものに行ったら帰り道が異世界につながっていた
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 ダストくんとハーバラムさんがなんだか楽しそうにお喋りしている。それぞれが初めて能力証明書をつくった時のことだ。

「わたしはここでつくったよ。適職が射手(いて)と杣人しかなくてさ。親父はがっくり、母さんは泣きだして、証人のおじさんが困ってた」

「俺はドラクの傍の井でつくったな」

 ダストくんは少々笑い含みだ。「順番待ちのお坊ちゃん連中に、職業が戦士だけだって笑われた。証人のおじさんが、体力は優で魔力が良だって云ったら、みんな黙ったけど」

「ナジは牧童だけど喜ばれたんだってねえ。家の仕事と近いといいよね。ナジが捕まえたトゥアフェーノは、賢くて扱いやすいのばかりだって評判だよ」

「トゥアフェーノは大概扱いやすいじゃん」

「賢くない子もいるんだよ。臆病すぎたりね。……おやあ?」

 立ち停まる。

 ハーバラムさんがきょろきょろした。

「証人が居ないね」

「ありゃ、ほんとだ。閉まってら」

 ダストくんが見ているほうを向いた。社務所みたいなのがあった。石造りっぽいが、神社にあるやつと似ている。戸はぴっちり閉てられ、ひとの気配はない。

 ハーバラムさんが口を尖らせる。

「なあんだ、無人か」

「ハーおじさん、ここで出してもらったんだろ?」

「わたしが子どもの頃はにぎわってたよ。ドラクに流れたかねえ」

「あっちはまちからすぐだもんなあ。……マオごめん」

 ダストくんがぺこっと頭を下げた。「ひとが居ないと思わなくてさ」


 にっっっっっこりした。

「いいよお全っ然!なくても大丈夫って神さまが仰言ってるんじゃないかな?」


 神さまありがとうこの井を無人にしていてくれて!


 いやいやいや違った。そもそも異世界に転移なんてことになったのがいけないんだ。この世界の神さまはよそからひとだの神さまだのを連れてこれるんだから、この情況もそういうのが原因かもしれない。感謝する義理はねえ。


「残念だけど仕方ないね。お参りだけでもしとく?」

 お参り?

 しようしようとダストくんが息を吹き返す。ハーバラムさんが奥を示す。「ここの井は広いよ」

 目を遣った。

 話に聴いたとおりの、あずまやみたい? 回廊みたい? な建物がある。上から見たら八角形らしいが、大きいので横から見てもよく解らん。

 ダストくんに手を引かれ、建物へはいる。「ほんとに広いんだなー」

 えっと……地面より50cmくらい高い床は、継ぎ目が解らないくらい綺麗に、濁った白の石をはってある。床の横幅は3mくらい。

 仰ぐと、かなり高い天井が目にはいった。木がはってあるみたい。白っぽいのと茶色っぽいのと黒っぽいので、じぐざぐ模様になっている。


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