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異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない  作者: 弓良 十矢 No War
買いものに行ったら帰り道が異世界につながっていた
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「ステューフ!」

「……イルク……エイマベル」

「よかった」

 エイマベルさんが泣き出した。

 放り出された壜を拾う。イルクさんが茫然としてこちらを見ていた。


 遭遇した魔物は、犬みたいなやつ。群れで襲ってきたので、ステューフさんが魔法を打ち上げて気を逸らし、逃げた。

 けれど、数匹追ってきていて、大きい個体が魔法をつかったそう。それがステューフさんへ命中した。

 当たりどころが悪ければ、歴戦の傭兵でも一撃死することはある。ステューフさんは持ちこたえたほうだった。

 口振りからすると、イルクさんは半分諦めていたようだ。でも、ステューフさんが助かってほっとしていた。

 ステューフさんを荷台へ押し込み、エイマベルさんへ顔を洗えと云ってから、イルクさんはきまり悪そうにお礼を云ってきた。

「薬、ありがとう」

「あ、はい。よかったです」

 適当に返し、血を見て気分が悪かったので、収納空間からお水の壜を取り出して飲んだ。ヤームさんに出してもらった水を詰めておいたのだ。お薬の空き壜に。

 壜を戻した。ダストくんと一緒に荷台へあがる。ステューフさんは破れて血塗れの服を脱いで、新しいものに着替えていた。


 まだ安心できないということで、馬車は少々はやい速度で目標のまちへと向かう。

 揚げパンを食べようかなとちょっと頭を過ぎったが、やめておく。馬車の速度的に酔って大変なことになりそうだから。

 エイマベルさんもステューフさんも口をきかなかった。ダストくんは、俺にくれたのと同じ薬? と訊いてきた。多分ねと返す。

 うっすら酔ってきたところで、目標のまちへ着いた。


 前のより立派な塀で囲まれたまちだ。

 出入り口で面通しがあって、ここは通行料が発生するらしくハーバラムさんが全員分を払った。エスターだったから大した額ではないのだろう。

 宿はまちの中心地にあって、馬車やトゥアフェーノ用の建物が併設されていた。昨日泊まったところよりあきらかにランクが上だ。

 厩番が出てきて、ハーバラムさんが幾らか渡す。馬車とトゥアフェーノを任せて宿へ這入った。

「ここはね」

 ハーバラムさんの声は明るい。わざと明るくしているらしかった。「馬車を預ける時にお金を払っておけば、もし荷物が盗まれても補填してくれるんだよ。きちんとした宿だから、そんなこと一度も起こったことないけどね」

 なるほど、簡易の保険みたいな?

 まず、一階の食堂でご飯だ。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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