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レモンカードも、そこまで難しくはない。小麦粉のはいっていないレモンカスタード、という感じかな。
たまごを割ってよく解きほぐし、目の細かいざるでこしておく。
お砂糖・バター・レモン汁を手鍋にいれ、かきまぜながら湯煎にかける。沸騰はさせない。バターが溶けたらたまごを加え、そこが焦げないよう気を付けてよくかきまぜる。とろみがついたら完成。
これも、パンに塗ってラップサンドウィッチにしたり、クッキーに塗って食べるのもいい。少量を味噌と混ぜて、かりっと焼いたとりにくに塗りつけ、炙って、味噌バターレモンローストチキンというのもおつ。
「このクリームは知ってたけど、レモンをいれるのははじめて見ました」
エヴィさんがレモンカスタードをお匙ですくって舐め、感心している。「マオさん凄いや」
「考えついたのは俺じゃないですから」
「うむ、レモンの香りが爽やかだ。甘さと酸っぱさの割合も絶妙で、これをいれて焼いたパイがあったら幾らでもいけてしまうな。レモンカードはもっとバターとレモンがくっきりしていて、鮮烈だ」
「熟成はしてませんけれど、ちょっと試してみましょうか」
レモン胡椒を指差した。
ちいさなじゃがいもをよく洗って芽をとり、ラードで揚げる。ラード推奨。こくが違う。
弱めの中火くらいでじっくりと火を通す。十分から十五分くらいか。エヴィさんが洗ってくれた平鍋へあぶらを切って移し、お塩と白ワインを振りかけて絡めながらアルコールを飛ばす。お皿に出して、レモン胡椒を添える。
平鍋を火にかけ、厚切りのハムを焼く。強火で焦げ目をしっかりつけたら、白ワインを少し振って香りを立たせる。ハムをお皿へとりだして、平鍋に白ワイン少しとレモン胡椒をいれ、アルコールを飛ばす。いい具合に煮詰めたらハムにかける。
ジャガイモのワインソースと、ハムのレモン胡椒ソース。うまそ。よだれ出てきちゃった。
ファルさんが真っ先に手を伸ばした。「む」
「どうなんだ、ファル」
「……旨い。レモンと塩、酒だけだというのに、じゃがいもがじゃがいもでなくなってしまった。僕は悪い夢でも見ているのか?」
「うわあ、これ凄く旨いですよ、ファルさま旦那さま」
エヴィさんがハムをひと切れ食べて目をきらきらさせた。「ロレ村の辺りはハムを沢山つくってるじゃないですか。あれも売れますよきっと」
「あ……ああ……そうだなこれはとても」ラスターラ卿は目に涙を浮かべていた。「う。旨い」
「マーゴ。兄さん」
ファルさんが兄の肩をゆすぶった。
「なんだファル?」
「酒を売る時に料理のつくりかたを書いた紙をつけよう。それくらいはできるだろう?」
「あ。ああ」
「そうだ、今からお客にこの料理を出そうじゃないか?ここで酒を売るのはご法度だが、これを食えば後からでも買いに来てくれる。なにしろ検査官お墨付きの料理だからな。売り上げが恢復すれば融資も受けられる」




