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 クリームは二種類。カスタードと、バターだ。


 まず、簡単なのを先にやることにした。バタークリーム。

 イタリアンメレンゲをつくる。卵白を泡立て、シロップをまぜるだけ。温度計がないから勘でいくしかないが、多少失敗してもおいしい。

 ジーナちゃんは、たまごを卵黄と卵白に分けるのが巧く、メレンゲをつくるのもはやい。体力があるからかな? セロベルさんもメレンゲつくるのはやいし。

 シロップのほうは、焦げないの、と心配そうだった。火の扱いを誤ったり、食べものを焦がすのでは、という恐怖心があるよう。

 イタリアンメレンゲができたら、すりまぜて空気を含ませておいたバターと混ぜる。バタークリームの出来上がり。

 次はカスタードクリームだ。さっき分けておいた卵黄をここでつかう。全卵タイプも好きだけど。

 卵黄・お砂糖・小麦粉をボウルにいれてよくまぜる。ヴァニラビーンズと牛乳をお鍋であたためる。あたたまったらボウルに少しづつ注いでよくまぜる。まざったら、茶漉しでこしながらお鍋に戻し、好みのかたさになるまで煮詰める。これは、失敗させたら可哀相なので、俺がやった。焦げやすいので、鍋底をこそげるみたいに、丁寧にまぜる。

 できあがったらバットにとりだしてさます。さめるとちょっとかたくなる気がする。


「はい、味見」

 揚げシューを熱いうちに包丁で開いたものに、クリームを両方乗せた。ジーナちゃんはそれを両手でうけとって、ぱくっと口へ含む。

 目が輝いた。「……おいしい」

「よかった。ジーナちゃん、手際がいいよ」

 ジーナちゃんはもぐもぐしながら、嬉しそうに微笑んだ。


 オーブンを開く。香ばしいいい匂いがした。うまくいったみたいだ。

 天板を取り出し、薪をいれて火をつけておく。火はアーレンセさんがつけてくれた。

 とりだした天板の上で、シュー生地はふくらんでいる。といっても、ひらぺったい。それを、熱いうちに7cm×4cmくらいに切る。ジーナちゃんは包丁さばきが素晴らしく、熱い生地に難儀する俺をよそに、さっさっと生地を切り分けて行った。

「これ、どうするの?」

「こうします」

 ひらぺったいシュー生地に、バタークリームを塗りつける。その上に、旬のくだものを数種類、ひとくちの半分くらいに切ってあるものを並べる。その上にバタークリームを重ね、シュー生地ではさむ。

 それのカスタードクリーム版もつくった。最後は贅沢に、下がバタークリームで上がカスタードクリームだ。

 シューサンドケーキの完成。かつて切り分けるのに失敗したことがあり、今回はあらかじめ小さく生地を切っておいた。うまそう。

 ジーナちゃんが目をぱちぱちさせた。「おいしそう。……ミューに食べさせたいわ」


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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