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四人とも意味が解らなかったのか、暫くぽかんとしていた。
ここは引き下がらず、常識のなさを寧ろおしだすべきだ。「御山には本が沢山あるって聴きました。読みたいので、そこで働きたいです」
「そ……そうかね?」
「はい!」
再び沈黙。
マオは寝なさいと追い出されてしまった。
仕方ないのではなれへ行き、ベッドへ潜り込んで寝た。魔王の長所は素直なところです。
翌日、ナジさんから話があった。
「御山へ行きたいんだったね、マオ」
「はい」
ナジさんは、うーん、と唸る。
「……昨夜皆とも話したんだが」
「はい」
「悪くはないと思う。御山はとても安全なところだから」
おお、割と受け入れられた。よかった。
ナジさんによると、御山はたまに下働きの募集をかけている。御山のすぐ下の町に居れば、その情報もはやくにはいるだろうし、先着順だとしても遅れることはない。
「だから、マオをそこへ送ろうと思う。と云っても、わたし達は仕事がある」
「ひとりで大丈夫です」
「それは駄目」
ドールさんが怖い顔で云った。ナジさんも頷く。
隣の隣の村に、行商人が居る。この辺でつくられた、毛織物や、布なんかを、都会へ持っていって売るのだ。そのひとは収納空間持ちで、ついでにサイン商会の品物も売ってもらっているらしい。
「そのひとに、ダストとマオを御山のふもと……レントへ連れて行ってもらおうと考えている」
「ダストくんが? でも、お仕事の邪魔になるんじゃあ……」
「収納空間持ちはまだふたり居るから、心配ないよ。それに、ダストにはいつか、ドラクやレントへ、うちの品物を売りに行くかかりをやらせたくてね。あの子なら入山経験もあって共通語は完璧だし。その時のための勉強をさせるつもりだよ」
ナジさんがはははと笑い、ドールさんが頷いた。それへ、深く頭を下げ、ありがとうございますと云った。
日程の調整が必要らしい。出発は三日後と決まった。
お世話になっているし、なにか恩返し出来ないだろうか。
ない頭で考えて、思い付かないでいると、リーリさんが訪ねてきた。
「マオ、あの焼き菓子のつくりかた教えて!」
?
鉄板で、鍋をふたにして焼いたクッキーのことだった。この村のクッキーとは慥かに食感が違う。ここのクッキーは噛み応えがあって、噛みしめて食べる、素朴なものだ。
鉄板クッキーは、油脂を牛脂へ置き換えている。それと、牛脂の量が多めだ。だから、軽くてさくさくほろほろと、溶けるような食感である。焼くと飛ぶのか、牛脂の香りはあまり気にならない。
「ドールがくれたけど、あんなの食べたことないわ。教えて頂戴!」




