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 ミューくんとジーナちゃんは腕を組んで帰っていった。また来るわ、と、ジーナちゃんが云いおいて。

「ジーナ、どうして試験に通らないのかしらね」

「え?」

 リエナさんがケーキを食べつつ云う。「だって、あの特殊能力。隠密でしょ? 凄くめずらしいじゃない」

 隠密……かあ。あの、透明人間みたいになっちゃったやつ?

 グロッシェさんが這入ってきた。早速お皿洗いにかかっている。俺は、ぎゅうぎゅう焼きとチャパティをテーブルへ並べた。「リエナさん、ベッツィさん、どうぞ」

「ごめんね、お昼までもらっちゃって」

「手伝ってくれたじゃないですか」

 ベッツィさんが、汚れたお皿をワゴンから流しへ移し、席に着く。俺も座った。流石におなかが空いたので、食べないと拙い。

 食前のお祈りを済ませ、ぎゅうぎゅう焼きへ手をつける。千切ったチャパティにベーコンを挟んでかじりついた。うんまい。

 で、隠密だっけ。なんか時代劇みたいだなあ。

「おんみつって、なんですか?」

「え? ……ああ、しらないの? んー、たしかじゃないけど、あれは隠密だと思うのよね」

 リエナさんがフォークで人参を突き刺す。「ほら。ジーナ、姿が見えなくなってたでしょ? 隠密はそうなれるのよ。魔法をつかったりしたら見えるようになるんだけど、じっとしてれば誰にも解らないの」

 ほう。かなり優良なスキルじゃないか。


 隠密は、名前の通り、隠れるスキル。隠形系のなかで一番上。

 音を立てても、ものを動かしても、隠密が発動している間は「見えない」。しかも、設定すれば、Aさんには見えるけどBさんには見えない、なんて情況もつくりだせる。

 例えば、魔物と戦っている時に、魔物には見えなくなるように、ただし味方には見えるようにしておく。そして魔物の死角までまわりこみ、不意打ちする。そういう戦法もとれるのだ。

 隠密は発動と維持に魔力をつかうが、微々たるもので、たいして疲れない。隠密が途切れるのは魔法をつかった時か、本人が発動を停止した時、気を失った時だけだ。そのうち、魔法をつかった時には強制的に解除されて、大きく魔力をうしなうが、それ以外ならペナルティはない。隠形系スキルは、魔物と戦う時にとても役立つので、傭兵達がほしがるスキルのひとつだそう。

「秘匿だって人気だし、ほしがるひとは多いのよ。隠密を持っていてもなかなか通らないなんて、入山試験って厳しいのねえ」

「今年は豊作だそうですよ」

 お皿洗いを終えたグロッシェさんが席に着いた。リエナさんが顔を曇らせた。「そうなんですか?」

「ええ。最近は、毎年のように、豊作だって云われていて……」

「こわいわ」

「そうね」

 豊作だとこわい? どういう意味なんだろう。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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