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異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない  作者: 弓良 十矢 No War
買いものに行ったら帰り道が異世界につながっていた
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 この何日かのあわただしさに、ドールさんはすっかり疲れている。

 顔色がよくないので、休んでいて下さい、と、料理番を買って出た。

「せめて、あんなに染め粉をつくる前に、ルッディの体調に気付いてたらね……さすがに、あの量の風邪薬は、大変だったわ」

「お疲れさまです。お塩、これくらいでいいですか?」

「ええ、ありがとうね、お客人にこんなに働いてもらって」

「仕方ないですよ。宿賃ってことで」

 ノックの音がし、ドールさんがはいと云った。

 戸が開いて、ナジさん、ダストくん、男の子達がどやどやとはいってきた。「ドール、ただいま、大変だったらしいな?」

「マオ、風邪ひいてないか」

 砂埃塗れなので、火急的速やかに水浴びしてくるようにと申しつけてしまった。全員首をすくめて素直に裏口から出ていく。

 ドールさんがくすくす笑った。


 晩ご飯の人数が増えたので、大きい鍋を出して、雑穀ご飯と煮込みを追加でつくった。ナジさん親子しかまともに口を開かなかったところを見るに、随分おなかが空いているみたいだったから。

 案の定、水浴びを終えて戻ってきた男の子達は、食事の準備が整っていて、弱々しく歓声を上げた。ドールさんも一緒に食べながら、お互い近況報告をする。こちらは風邪がはやるかもしれないと、ドールさんが慌ててお薬をつくりまくって大変だったが、ナジさん達は危うく飢え死にだったそうだ。

 食糧はダストくんと別のふたり(三人とも収納空間持ちだ)が分けて持っている。だから、魔物に襲われても逃げさえすれば大丈夫だ。

 ところが、食事の準備中に襲われたものだからたまらない。鍋釜を放置して逃げざるを得ず、食材はあるのに調理できないという苦しい状況が丸一日続いたそう。ドライトマトと干し肉を分けてしのいだらしい。

 ご飯を食べ終えると、男の子達は、疲れた様子で裏口から出て行った。丁稚さん達用の棟があるのだ。

 お茶をいれ、夫婦の邪魔をしちゃ悪いかなと、はなれへ行こうと思った時、シアナンさんがやってきた。ラトさんも一緒だ。


「結論から云うと、マオの記録はない」

 じゅうたんの上へ座らされ、井の記録の話になってからこっち、冷や汗がじっとりと出ていて気持ち悪い。シアナンさんの話だと、裾野中の有人の井には、「仲居」の記録はない。

 ある訳ない。嘘だもの。

「となると、他国かな」

「無人の井かもしれん」

「マオ、宣言した井はどんなところだった?」

 キャラメイクの謎空間っす。

 とは云えず、へらへら笑って首を捻った。シアナンさんが助け舟を出してくれる。

「井はどこでも似たようなものだろう」


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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