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異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない  作者: 弓良 十矢 No War
ひかりかがやく美少年(※魔法の効果)
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 セロベルさんは目をぱちぱちさせ、四辺を見て、バルドさんとほーじくんに気付いてびくっと立ち上がる。

「バルド?」

「やあ、セロベル。マオが厄介に巻き込まれてんで、送ってきたんだ。祇畏士みならいさまは、マオを助けてくれた」

 リエナさんが口許を覆った。「まあ。大丈夫なの、マオ? わたし、あなたは配達から戻ってきたのだとばかり」

「大丈夫ですよ」

 サッディレくんとアーレンセさんが目を交わす。それにちょっとだけ不審の色が見えて、俺は殊更に笑顔をつくる。「なんでもないです。デザート、食べます?」

 それには全員頷いた。セロベルさんも。


 焼きフルーツはとてもおいしかった。また肥っちゃうわとリエナさんは笑いながらおかわりしたし、バルドさんもちょっとはずかしそうにしつつおかわりしていた。

 ほーじくんは、甘いの得意じゃないみたい。少しでいい、と云って、ほんとにちょっとしか食べなかった。

 デザートがなくなり、お皿は流しの、たらいのなかへいれる。サッディレくんがお水をはって、アーレンセさんの手をとった。「アーレンセ、読みたがってた本貸してやるよ。じゃ、おやすみ」

「あ、うん……おやすみなさい」

 ふたりは手をつないで厨房を出ていく。リエナさんも、欠伸をしながら立ち上がった。

「わたしも失礼するわね。セロベル、おばさまに、心配なさらないでって云っておいて。ノーヴァの云ってることはばかみたいだもの」

「悪い。俺、寝ちまって」

「ううん。ごめんね、夜中におしかけて。かわりに明日は沢山ベーコンもってくるわ」

 リエナさんが、おやすみ、と云って出て行った。

 椅子に戻った。「ノーヴァって……」

「騎商」セロベルさんは、くいと頭を傾ける。「隣の」

 ああ、昔は泊まり客のトゥアフェーノを預かってくれてたんだっけ。


 宿を再開したし、客足も見込めるので、昔と同じ契約を、と、話をしてきたのだそう。

 そうしたらけんもほろろで、決裂した。しかも事業を拡大したいらしく、つぶれそうな宿なんかやめろ、なんなら買いとってやる、とまで云われた。

 それが少し前の話。で、昨日になって、リエナさんのうちに、土地を売らないか、とノーヴァがもちかけてきた。四月の雨亭・リエナさんの家を両方買い上げて、店を広くするつもりなんだとか。

 四月の雨亭はもう売るつもりだ、というようなことを云っていたので、心配になったリエナさんが来て、セロベルさんグロッシェさんと相談していたのだ。そこに、サッディレくんとアーレンセさんが、夜食目当てで起きてきた。

 俺は、見える訳でもないのに、つい中庭のほうを見てしまった。「そんなにお店をひろくして、どうするんだろ」

「最近ラシェジルのおかげで景気がいいらしいからな。今のうちに稼いでおきたいんだろ」


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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