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 偸利で恢復できた。やるぞー。

 走る。上に行ってみようかな?

「四散」

 背後の床につかった。もの凄い音をたてておちていく。いえい!


 はしるはしる。未だかつてないくらいに走っている。体育の授業まじで嫌いだった。撮影で砂浜走らされた時は死ぬかと思った。それで動画じゃなくて写真なんだぜ?

 階段を駈けあがる。「うーわ」

 ここのお邸は相当に金がかかっている。なんと、がらすのはまった窓を発見した。分厚そうだし、均一な厚さではないっぽいけど、がらす。

 しゃーねーな。「四散」

 ぼんっ、と弾けた。窓周辺が。はなれたところに居たので俺は平気。がらすがきらきらしながら落ちていく。雨はやんだみたい。でも、雲はまだ沢山。月も星も隠されている。

 外を覗いた。……四階? 五階? くらいかな。高い。リーニくん達逃げられてるといいけど……。

「いたぞ!」

 情緒もくそもない。俺は振り向いて、飛びかかってきたハツァルの私兵の剣を、四散で弾けさせた。

 手もいったみたい。ごめん。私兵は吹っ飛ばされて倒れ、手をおさえている。「恢復魔法を!」

「俺はいい! やつを捕まえろ!」

 はいはい偸利々々。大人しくしててくださいね。

 半分くらい倒れた。悲鳴が上がる。「なにが起こってる」

「お前なにをした?!」

「何者なんだ」

 魔王っすね。

 にーっと笑った。

「ここの旦那さんとそのお仲間に、ちょっと用事があっただけだ」

「女か?!」

 ああ、つくり声だからね。

 ふふふと笑う。「だったらなんだ? 意外だろ。旦那さんに用事があるって云ったら、ぴちぴちの男の娼妓だもんねえ?」

「な」

「いや、旦那さん()用事があるの間違いだったな。なんにせよ、こずるい手はいつまでも通用しない。すぐに警邏隊が来るから、ちゃんと考えてから喋れるように、それまで寝といたら?」

 偸利をつかい、残りも眠らせた。


 四散で壁や床を壊し、追ってくる私兵は禍殃か偸利で動けなくする。

 それをくりかえし、逃げ続けた。三十分くらいかな。

 幾つか発見。どの魔法も、対象までの距離に応じて、発動までにタイムラグがある。しかも、その間に対象が動いたら、不発。多分、見えない銃弾を飛ばしている感じ。禍殃はさほどのラグはないが、偸利は直に触れたほうが確実に当たる。ただし、偸利はすり抜けるっぽい。指定した対象にしか当たらないのだ。

 流石に疲れて、目についた部屋にとびこむ。

 おお。厨房みたい。かまどとオーブンがある。

 俺は、食材やざる、かごが乱雑にまとめられている場所へ、もぐりこんだ。かごとざるとねぎやたまねぎにかくれ、俺は見えないだろう。足が痛いので靴を脱ぎ、靴下もはぎとる。仮面も邪魔くさいのでとった。

 傍の廊下を数人走り抜けていったが、厨房には目もくれない。破壊工作をするのが目的と思われてるっぽいから、こんなとこに潜んでるとは考えまい。

 ランタンを出し、熱を持って痛む足を見る。怪我はしていないみたい。両手でもんだ。警邏隊遅くね? 郊外なのかなあ。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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