3759
いい気分ではなかった。ユラちゃんとヨヨにお菓子を渡して自分も食べ、気を紛らそうとする。糖分への逃避はあまりいい行動ではない。
あまり、じゃないな。こうやって精神的に孤立してしまっている状態では、まったくいい行動じゃない。呆れるくらいに。
サーダくんは、俺が渡そうとしても、お菓子をうけとってくれなかった。ユラちゃんがなにか云うが、怒っている感じではなく、気遣っているみたいな調子だ。サーダくんはそれに、小さく返し、口を噤む。ユラちゃんには目もくれない。
ユラちゃんとサーダくんの間にはつめたくてぎこちない空気がある。そういう雰囲気がある。
どうしてだか知らないが、ふたりが口論しているらしい場面を数回見たし、ユラちゃんはネクゼタリーさんにもくってかかってたし、なにかもめる理由があるのだろうか。それが俺に起因しているのか、当人達に何かがあるのか、わからない。
俺が関わりない、ということはないだろうとも思っている。結局は俺が天罰をうけたことが原因だろうと。
サーダくんになにか渡そうとしても断られると、なんといったらいいのかわからない気持ちになる。怒るのは違うし、憤りでもない。哀しい、は少しある。淋しいとか、切ないとかも、あるし。それに、申し訳ないという気持ちも。
それが一番大きいかな。申し訳ない、が。
考えたくないけれど、天罰をくらった俺には接触したくないのかもしれないし、だとしたら同じ馬車で迷惑だろうなと思う。
あらゆるひとに迷惑をかけている。
馬車が停まったので目が覚めた。眠らないようにしようと思っていたのに、いつの間にか眠っていたらしい。
体がちょっと揺れる。目を開けると、サーダくんが馬車をおりていき、ユラちゃんが立った状態で俺を見ていた。ヨヨが俺のローブをひっぱっている。ユラちゃんが手振りをしながら喋るが、マオ、しか聴きとれないし、ユラちゃんもなんとなくそれを理解しているふうだ。
俺は目をこすりながら、立ち上がった。ヨヨはまだ俺のローブを握りしめている。ユラちゃんが短くなにか云い、出ていった。俺は両手でローブを握りしめるヨヨの頭を、軽く撫でる。ヨヨははなしてくれない。
ヨヨにひっぱられるまま、馬車を降りた。「マオ!」
なにかがぶつかってくる。スパイスの匂いがする。たくましい腕にしめつけられた。体温を感じる。
もがくと、そのひとは離れていった。俺は息を整え、いきなり抱き付いてきたひとに目の焦点を合わせる。
ダストくんだった。




