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ニニくんがネクゼタリーさんを庇うのがどうしてかわからないし、そもそもふたりがこんなところでなにをしていたのか、そしてなにが起ころうとしていたのかも、わからない。知らない。
ただ、見ていて不快だった、嫌悪感があったという俺のエゴで、ネクゼタリーさんをとめた。それはわかってる。
もしかしたらニニくんがなにかのことで泣いていて、ネクゼタリーさんはそれを可哀相に思ってなぐさめようとしただけかもしれない。
ニニくんは男性に対して恐怖心があるから、ネクゼタリーさんの行動がこわいものに感じられて、いやがっていたのかもしれない。
でも、冷静になったらネクゼタリーさんのやったことがそういう意図ではないとわかって、だから俺に対して弁明しているのかもしれない。
ただニニくんが顔に怪我をしていたのは事実だ。あれは転んだとか、そういう怪我の仕方じゃない。アランさんみたいに酷くはなかったけれど、アランさんが殴られて帰ってきたことを思い出した。誰かのやったこと、人為的なことだとわかる、そういう怪我だった。
誰のやったことかは知らないけれど、癒し手で、恢復魔法をつかえるニニくんが、その怪我をしばらく放置していたのもまた、事実だ。
それが、魔力が足りない所為なのか、動揺で魔法をうまくつかえなかったのか、俺には判断できない。
恐怖でも魔法はつかえなくなる。
ディファーズの人間関係は俺はくわしくない。でも、神聖公を輩出した家が偉いというのは、ラスターラ卿達に聴いて知っている。ハイオスタージャ家はどれくらいの身分だったっけ。興味がないことはすべて頭からぬけおちていくから、わからない。
ニニくんが、自分の家のこととか、そういうのを考えてネクゼタリーさんを庇っている、というのは、充分に考えられることだ。
なんだか、ややこしいことになっているらしい。どうしたらいいかわからない。
ニニくんはまだ、俺に対してなにか云っているし、ネクゼタリーさんは消沈した様子だ。それが悪さをしているところを見られてばつが悪い顔なのか、それとも俺が疑いの目で見ていることに傷付いているのか、どうしてもわからなかった。
ネクゼタリーさんがニニくんを呼んだ。ハイオスタージャ、と聴こえたから、そうだろう。ニニくんはネクゼタリーさんを見る。
ネクゼタリーさんは頭を振って、俺に頭を下げ、歩いていった。
ニニくんがそれと俺とを交互に見、結局あとを追った。
俺はとりのこされ、ローブをひっぱられて、ヨヨをつれていたことを思い出した。




