3738
胃がむかむかしている。馬車が停まり、外へ出るように促されて、また荒れ地で野宿なのだとわかった。夕焼けの残る空と砂、という空間に出たからだ。
だが、西の方向を見て、はっとした。建物らしいものがある。
いや……だが、荒れ地にはかつて村が幾つかあった、と聴いている。その廃墟かもしれない。ごく最近でも、荒れ地の村は幾つか消滅している。突然辺り一面が荒れ地化して、どうしようもなく村人全員で西へ避難するのだ。結果としてレントのような都会へ移住するひと達も居ると聴く。
廃墟でなくても、地平線にあるように見えるから、4㎞は先だ。日が沈む方向だから逆光で目立って、たまたま見えているだけで、完全に夜になったら闇に沈んでしまうだろう。夜間のほうが魔物は活発だと云うし、危険をおしてまで移動する必要はない。
今夜ここでじっと耐えれば、明日には荒れ地をぬけられるかもしれない。そういう希望だけでいいのだ。このところずっと、明日には、明日には、と思っている。
幕屋は、タスとほーじくん、リッターくん、それにネクゼタリーさんがなんとかしてくれた。荒れ地は雨がほとんど降らないから、布の屋根でもしっかり結わえ付けておけば問題はない。風が強いから、固定は必須だが。
ネクゼタリーさんはほーじくんやサーダくんと違い、体力がかなり高いみたいだった。重いベッドでも簡単に運んでしまう。ネクゼタリーさんの職業、聴いていないけど、なんだろう……。
ニニくんがサーダくんに燕息をかけていた。サーダくんは気分が悪そうで、ベッドに横たわっている。タスがそちらへ行き、ニニくんと喋っていた。サーダくんがぱっと上体を起こし、鋭い調子でなにか云う。
途端に、ニニくんの表情が険しくなった。サーダくんみたいに鋭く、その上叫ぶみたいな声を出す。タスがその腕をひっぱって、サーダくんのベッドからニニくんをひきはなした。ニニくんはタスを見るがすぐにサーダくんに目を戻し、睨んだ。タスがニニくんを抱きすくめている。
サーダくんは一回深呼吸して、顔をゆがめて涙をこぼした。ほーじくんがそちらへとんでいく。サーダくんはほーじくんのローブを掴んで、小さくなにか云い、ほーじくんは頭を振っていた。
ネクゼタリーさんが、ニニくんとタスに向かって、おそらく謝っている。タスは小さく頭を振ってなにか返し、ニニくんは怒っているのか、顔を赤くしてかすかに震えていた。タスがその肩を両手でおさえている。
感想ありがとうございます。はげみになります。
しばらくつらいくだりですすみません。




