3731
馬車は四人のりだが、カルナさんがリャクークの頭を軽く撫でてなにかいっているので、多分カルナさんが馬車にのらずにリャクークを利用するのだと思う。
ユラちゃんが俺の服から手をはなさない。睨むようにこちらを見ている。俺は頷いて、馬車を示した。すると、ユラちゃんの手がぱっとはなれる。彼女は不服そうな表情をうかべていた。俺はそれへ微笑んで、馬車へ向かう。
はなれたところで息を吐いた。みんなにとったら、気絶以降俺の様子がおかしいのだ。体調が悪いと思われても仕方ない。馬車のほうが安全に俺を運べる、と思われているのだ。
突然逃亡を図るとでも思われてるのかもしれないな。昨日は夕食を忘れて外でぼーっとしていたし、かと思ったらよなかに悲鳴をあげるし。
俺の行動は、かなり不気味なんだと思う。いつもぺらぺら喋っていたのが喋らないで、勝手に離脱したりしているのだ。心配もされる。
ステップを軽くあがって、馬車へのりこむ。すでにヨヨが座っていて、俺はその隣に腰掛けた。ヨヨは不安そうに俺を仰いでいる。なにか云うのだが、それを理解できない。やっぱり、使役しているといえ、言語:異世界に依存しているのだ。
俺はなにも云わず、軽くヨヨの頭を撫でた。ヨヨの所為でロック解除失敗したのだが、それを云っても仕方がない。ヨヨは多分、心配して俺の後を追いかけただけだろうから。
ニニくんとミエラさんがやってきて、俺の向かいに座った。ミエラさんがどうやら、俺に話しかけているらしいのだが、ニニくんがそれを遮り、小さく頭を振った。ミエラさんが眉尻をさげて黙りこむ。俺としては、反応に困っていたので、ありがたい。
馬車が動き出す。
馬車は酔うものだ。それはレントだろうと荒れ地だろうとかわらない。のっている時間が長ければ長い程、気持ちが悪くなってくる。砂で車輪が沈まないのかな、と思ったけれど、そういうことが起こらないように対策した車輪をつかっているのだろう。
寝言を云うかもしれないという緊張があって、眠るという選択肢はない。ここで謎の言語を喋ったりしたら、余計にまずいことになる。間違っても誰にも喋りかけないようにしなくちゃ。
目を瞑っていると眠ってしまいそうなので、俺はそうしないように意識していた。たまに魔力薬を服んで、みんなに魔力を譲渡する。それはちゃんとできるので、ほーじくんが魔法をつかいすぎて死んでしまうなんてことはない。そんなことは絶対にさせない。




