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こちらへ戻ってきて九日目の目覚めは、いいものとは云えなかった。そういえば今日が何月何日かも知らない、と思い至ったし、なによりそれを訊こうにも俺は言語:異世界をつかえない状態になっている。
とりあえず、やるべきことはやった。朝食の用意だ。昨夜あれから、タスが見張りに立ってくれていたみたいで、今タスは幕屋の入り口近くで眠っている。用足しに外へ行く時あしをぶつけてしまったのだが、タスは起きなかった。
俺はそれを見ながら、食糧を出して並べる。ニニくん達にはおかゆとあたたかい飲みもの、チーズ、俺達はサンドウィッチとスープにサラダ、くだもの、と、いつもの献立である。
ヤラとニニくんが一緒にやってきた。ニニくんは俺の手伝いをしようとしているらしい。食器をぎこちない手付きで並べている。ヤラとマルジャン用のお芋をボウルに入れ、トゥアフェーノ達の為のドライフルーツは木桶に分けていれた。
ニニくんはそれがトゥアフェーノ用のものだとわかったのだろう、ついと外を指さしている。頷くと、ニニくんはかすかに笑って、木桶を外へ運んでくれた。ヤラがついていく。
なんだか皮肉な話だが、ニニくんは相当、癒し手気質とでもいうのか、傷病者への嗅覚が凄いと思う。多分、入山できていたとしたら、先生がたに癒し手をすすめられただろうな。なんとなく、ミューくんに似たものを感じる。妙に責任感が強いとことか、ね。
カルナさんとミエラさんもやってきて、食器を並べる手伝いをしてくれた。木桶の残りはミエラさんが運んでくれる。カルナさんは、熱の魔法をつかって、チーズをあぶってくれた。
ニニくんとヤラ、ミエラさんが戻り、外に出ていたほーじくんとリッターくん、ユラちゃんも戻ってくる。多分、巡回に行っていたんだろう。会話がわからないから、すべて憶測でしかない。
タスが起きて、みんなが席について食べはじめたので、俺は外に出た。エクシザにお肉をあげる為だ。エクシザは牛肉をおいしそうについばみ、ちょっと心配げに俺を見た。俺が、食べてね、とか、おいしいかな、とか、そういうことをなにも云わないからだろう。
幕屋内へ戻ると、ほーじくんの隣へ座った。ニニくんとヤラが来て、燕息をかけてくれるが、俺は微笑んで頷くだけだ。ありがとうとも云えないのが、どうにも、つらい。
食後、片付けをし、幕屋も解体した。出発の準備を調え、リャクークにのろうとすると、ユラちゃんが俺の服をひっぱり、馬車を示してなにか云う。馬車へのれ、ということらしい。
感想ありがとうございます。はげみになります。




