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俺は砂に寝転がる。ほーじくんのことをリッターくんが云っていたし、気になることは沢山あるのだけれど、どうにも体がだるい。天罰をくらったからだと思う。こんなにきついのなら、天罰をおそれる人間の気持ちはわかる。
星は今夜も沢山光っていた。俺はなんとなく、左手をのばして、星と星をつないでみようとする。俺は星に明るくないので、星座もわからないが、こちらとあちらの星空は多分違う。
「マオ」
手をおろした。今度は、ヨヨだ。
俺は上体を起こした。ヨヨがちょこんと、俺の近くに座る。口許を覆う布をひきさげる仕種から、おなかがすいているのだとわかって、それから夕食のことに思い至った。
俺は収納空間からクッキーの包みを出して、ヨヨに握らせる。それから、えっちらおっちら、砂をおりた。食事を忘れるなんて、どうかしてたな。やっぱり天罰、こわい。
幕屋へ飛び込んだ。クッキーをかじるヨヨも一緒だ。ごめん、と謝ろうとして、今口に出せるのは日本語だけだと気付き、黙る。こちらの世界の言葉は基本的には一種類だ。それとまったく違う言語を喋ったら、おかしい。
幕屋内では、昼に食べたパンやドライフルーツの残りを、みんなで分けて食べているらしかった。俺は慌てて、あたたかいおかゆや、ホットミルク、ローストビーフのサンドウィッチ、くだものなどをとりだす。ユラちゃんがまっさきに食糧をとり、リッターくんやほーじくんも続いた。
ニニくんとミエラさんが居ないので、四辺を見ると、ミエラさんはベッドに横になって眠っているらしい。ニニくんは幕屋の隅に座りこんで、ヤラと顔を近付け、なにか喋っている。声が小さいので、まったく聴こえないが、ヤラが時折頷いていた。
俺が突然、喋らなくなったからか、みんなも口が重たく、お喋りはなかった。ほーじくんは項垂れて黙りこんでいるし、ユラちゃんはどことなく不機嫌そうだ。リッターくんはいつもの無表情だけれど、たまに心配そうに俺とほーじくんを見ている時がある。
ヨヨは元気で、クッキーやくだものを食べてしまうと、小さなシンバルのようなものをとりだし、打ち鳴らした。魔物をおびきよせないか心配なのだが、タスもほーじくんも停めないので、大丈夫だと思う。ヨヨの誘いにのって、カルナさんが立ち上がり、腕を上下させながらゆっくりまわる踊りをした。
くだものを食べ終えたタスが、そっと、ニニくんとヤラにまざる。ニニくんはタスになにか、説明しているみたいだ。その表情はいつになく、しっかりしていた。




