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 当然、言葉は通じないのだが、槍は持っているしかぶとで顔を覆っているし、というか多分、襲われたほうは「クリーチャーのマスクを被った集団」と思っただろう。不幸というかなんというかな行き違いだ。

 タスはちょっと呆然としていたが、また喋り出した。

「ああ……わたし達はそんなことは知らないからな。大きな邸なので、貴族か商人の住まいだろうと」

「うん。わかるよ。俺も、最初に井に行った時、よくわからなかった。それに、門が二重になってたりとか、謎だった」

「ああ、そうか」

 タスは口をもごもごさせてから、続ける。

「それで、わたし達は、とにかく食糧をさがそうとした。人間達は多くなかったし、槍で威嚇したらおとなしくなったからな。だが、伝糸持ちが……ああ、そういうのもないのか?」

「ない」

「ではどうやって、外に連絡したんだ。わたし達が来ているとわかったようで、貧弱だが武装した人間達が雪崩を打って這入ってきた」

「え」

 ああ……誰かが通報したんだ。

「あのね。通報用のスウィッチがあって、それを押すと警察……警邏隊がすぐに来るようになってるんだよ」

「はあ……?」

「人間は伝糸をつかえないけど、伝糸みたいなことができる装置があるの」

 タスはちょっと百面相したが、納得したようだ。こっくり頷いている。


「あとね、貧弱な装備って、それって防刃ベストとか防弾チョッキとかだと思う。見た目は布だけど、かなり丈夫な繊維だから、もしかしたらレットゥーフェルの槍でも切り裂けないかもよ」

「そんなことはありえない。がらすを持っていたんだぞ。あれくらいはなんでも」

「それも、透明な樹脂でできた盾だから。盾が透明だったら、自分の身をまもれて、相手の様子も見えて、便利でしょ」

「意味がわからない」

 それはそうだ。俺も、こっちの魔法や特殊能力には、日々面喰らってきた。

「とにかく、そういう丈夫で透明な物質があるんだよ」

「がらすではないのか」

「寧ろどうしてがらすだと思ったの」

「特殊な効果が付いているのかと。なら、それそのものを壊せばいい」

 あー、そういうことはあるか。

 タスの勘違いは、わからないでもないものだ。俺は小さく数回頷く。「わかるけど、違うから」

「それで、あんなにかたかったのか」

「ねえタス、あのさ、人間を……」

 傷付けたの、とか、殺したの、とか、訊こうとしたのだが、うまく言葉が出てこない。タスは生きる為に仕方なくしたことで、でもその場に居たひと達はまきこまれた訳で……。

 あんまり、考えたくない。ほーじくんの封印が原因といえなくもないのだから。

「マオ。お前なら、わかるか? わたしの仲間が突然、死んだのは、どうしてか」

 はっとタスを見て、ああ、と呻いてしまった。忘れてしまっていたが、これはタスの仲間の死についての話だ。強盗をした結果の。


誤字報告ありがとうございます。助かります。

感想ありがとうございます。はげみになります。

ユラちゃんは努力の塊!

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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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