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 異世界、というのより、よそのほうが多分通じやすいだろうと考えて、俺は自分が「よそ」から来たのだともう一度云った。

 それからは大体、ほーじくんに話したのと同じように話した。まず、そちらで普通に生まれ育って、ある日突然荒れ地に飛ばされて、その前に職業を選んで、……と。

「あ、そっか」ほーじくんが納得したみたいに頷いた。「マオ、云ってたね。職業、ないって。だから、来る時に、職業を選ばされたんだ」

「はあ?」ユラちゃんが目をむいた。「職業がないってなによ。どういうこと?」

「ないんだって」

「ちょっと……意味がわからない……なんなのそれ、気色悪いわ!」

 俺が魔王であっても受け容れてくれたユラちゃんだが、「職業」という概念がそもそもないというのには、尋常ではない拒絶反応を見せた。考えるのもおぞましいみたいで、ぱっと立ち上がって出ていってしまう。リッターくんがすぐに追いかけた。


 俺も腰をうかせたが、タスがぐいっと俺の腕をひっぱって、また座ってしまう。「タス」

「そっとしておけ。お前の話が気色悪いのは事実だ」

 あ、そうなんだ。

 それなら、その話をしている俺自身が行くのは、逆効果かもしれない。

 俺は頷き、それからふと疑問に感じて、ほーじくんを見た。「ほーじくんは、気持ち悪くない?」

「あ……あの、ちょっと。でも、朝起きて、タスに」

 ほーじくんはタスを一瞬見て、タスは俺に軽く頷く。

「こいつに、封印中のことを聴かれた。祇畏士との話だ、その間はニニも離れてくれた。あいつは傍に居ないと居ないで」タスはわざとらしく咳払いする。「とにかく。建物は堅牢で、ろくに還元もできないし、がらすのようなのにはるかにかたく、それでいて透明で綺麗なものが窓にはまっていたことや、人間達が贅沢に布をつかった衣装を身につけていたこと、みすぼらしい様子のものは居なかったことなど、喋らされた。それから、立っているだけでも体がむしばまれていくようにつらいのに、人間もそれ以外の動物も平然としていたことも」

 ほーじくん、俺が云ってたこと、実践してくれたんだ。タスに聴いたら、封印中にどんなだったかわかるって。

 ほーじくんは首をすくめるみたいにする。

「職業がないのに、築城家が建てたみたいなきちんとした建物があって、耕作人が居なくてもみんなおなかをすかしてなくて、紡織士や針子が居なくても衣装に困らなくて、……そういう世界だったら、魔王とか、娼妓とかも、居ない。だから、そういうので、いじめられるひとも、居ないのかなって思って……ちょっと、いいなって思った」

 ほーじくんは優しくそう云って、頷いた。本当にそう思っているみたいだ。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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