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「そうなの? 凄いね」
そっか、試験。ユラちゃん、図書館の深くまで這入る為に、いい成績とろうと頑張ってたのかな。お休みで等級増やしたんだ。
「それに魔法屋で、持ってない魔法を全部買ったわ。つかえないけど、恢復魔法や恩寵魔法だって持ってるのよわたし」
は?
絶句する俺のまわりに、素がきらきらした。ほーじくんが魔を集めて、滅却している。還元を終えたタスは、馬車へ向かい、扉を開けて、なかの三人+ヨヨを宥めているらしかった。声がかすかに聴こえてくる。
剣を佩いたリッターくんがやってきた。「ユラ、無茶をするな」
「無茶なんかしてないわよ。あんたこそ、ちゃんと戦いなさいよね」
「お前がすべて倒すから戦うひまがない」
「あらあ、ご自分の無能を棚に上げてるのかしら……」
ユラちゃんは勝ち誇り、リッターくんは軽く肩をすくめて、滅却を行っているほーじくんへ近付いていった。ユラちゃんはその後ろ姿に、ちょっと舌を出す。「ちょっとぐらいは意地悪云わせてもらうから、マオは文句云わないでよね。あいつとほーじのこと、わたしまだ怒ってるの。軽々しい発言に軽々しい行動、あいつらってどっか似てると思わない?」
それどころではない。
「ねえユラちゃん、恩寵魔法って、高いんじゃないの? 大体、そんなの普通に売ってるもの?」
「なに云ってんの。あるわよ」
ユラちゃんは呆れたように俺を見た。「めずらしい恩寵魔法なのよ? さすがに七十にもなれば、祇畏士と云ったって前線を退くわ。家族に少しでもお金を残そうと、恩寵魔法を売りに出すのは普通なの。滅却さえできればいいんだから」
あ……そっか。魔法って、財産に数えられるんだよな。魔法系の職業に就かないひとなら、若いうちに売り払ってしまうし、ダブっている魔法も売ると聴いた。
そして、大きな・めずらしい魔法を持っているひと達は、生前贈与で子どもにその魔法を譲ったりするらしい。子どもがそれを売りに出すのも、自分でつかうのも自由だ。
魔法って、中古でも目減りしてるとかないもんな。だから、自分でつかってみてつかえなかったら売る、っていうのでも、充分にお金を得られる。
「……ってことは、ユラちゃん、もの凄い額のお金つかったんじゃないの?」
「当然でしょ」ユラちゃんはくいっと顎を上げた。「でも、わたしのお金だから、誰も文句は云わないわよ。それに、投資よね。もしなにかあったら売ってお金にしてしまえばいいし、魔法屋との人脈もできてよかったわ」
「ねえ、どうしてつかえないのに恩寵魔法を」




