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 ユラちゃんはふんと鼻で笑った。

「行き違いがあるみたい。わたし達は、こいつらがいつまでたっても戻らないから、迎えに来たのよ。強引にでも馬車に詰め込んで帰るつもりだったわ。だから座席がみっつ以上ある馬車なの。おわかり?」

 ニニくんがミエラさんを見、ミエラさんがカルナさんを見、カルナさんがニニくんを見た。タスが低く云う。

「ニニ、馬車にのったほうがいい。その娘は強情だ」

 最終的には、タスの説得がきいたみたいで、三人は馬車にのることを承知した。


 ユラちゃんの言葉どおり、クッキーやビスケットの包みを座席に置いた。四人のりらしいが、座席は余裕があるので、これくらいのものをのせても座るのの邪魔にはならない。

 その隣に、魔力薬が詰まった小さな箱みたいな包みを置く。正方形になり損なったみたいな形で、革紐でとめてある。中身は全部、魔力を補うあのまずい丸薬らしい。このひと包みで確実に貝貨十数枚分、もしくは数十枚分だと思うのだが、ユラちゃんはお嬢さまなのでそんなことは気にしない。おまけでアルコモニィアシュとピニョアーダの包みも置く俺に、背後から平然と云う。

「マオ、あんた物資が減ってるでしょ。食糧もあんたからもらえるし、村が近いからもう必要ない。あんたにあげる。薬類もね」

「え、いいの」

 勢いよく振り返る俺に、ユラちゃんはなんだかつまらなそうな顔だ。

「あげるって云ってるんだから気持ちよくうけとりなさいよ。たいしたもんでもないわ。食糧なんかも、うちとリッターの家で手配してあげる」

「でも……」

 俺がステップを降りると、ユラちゃんはふんと鼻を鳴らして、馬車の戸を閉めた。「遠慮したら雷落とすわよ」

 ニニくん達は今、出発前の用足しと、装備の確認で、居ない。御者はタスがしてくれることになった。御者台に座るのではなくて、トゥアフェーノ達に話しかけて誘導するそう。離れ業である。

 俺は雷がこわいので、ちょっと黙った。ユラちゃんはむっつりしている。

「ユラ・レフオーブルよりも、レットゥーフェルを信用するってなんなのかしら? なんだかぞんざいに扱われた気分なんだけど」

 あ、それで不機嫌なのかな。ちょっと、可愛い。

 俺は微笑む。

「タスのこと、凄く信頼してるからね、三人とも」

「そう? まっ、いいわ。わたしは心が豊かだから、気にしないでいてあげる。それに、あんたに従ってる魔物なら、たしかに信用できそうだし」

 ユラちゃんの目許がうっすら笑っている。「魔物が出たら、リッターのばかと、ほーじに沢山戦わせましょ。わたしはリャクークの上でごろごろしてるからね」


感想ありがとうございます。タス人気ですね!

ニニくんは譫妄と重めの情緒障害を引き起こしているので現段階では説得は難しいかと思います。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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