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リッターくんと、ニニくんと一緒にやってきたタスが手伝ってくれて、荷物の大半は収納した(ニニくんはずっと、心配そうにタスの様子を見ていた)。それが終わると、タスとニニくんは馬車から離れる。ニニくんはまだ、リッターくんに苦手意識があるらしい。
食糧とお薬は収納したけれど、きがえは収納しなかった。それはさすがに、こちらが預かるようなものではないだろう。座席の下にあるから、座るのの邪魔という訳でもなし。
ヨヨを捕まえるのを諦めたユラちゃんが、強くなってきた日差しに顔に布をまきながらやってきた。俺も、布をまきはじめている。「荷物、収納したよ」
「ありがとう。あんた、仕事がはやいわねえ」
「はは。あ、ふたりの服はそのままだからね」
「わかってるわよ」
ちょっと苦笑される。
ちらっと見ると、ちょっとはなれたところでニニくん達三人も頭に布をまいていた。そのすぐ近くにタスが居て、ニニくんが布をまきつけるのに失敗したのでやってあげている。なんだよー、なんだかんだ云って、タス、ニニくんのこと好きじゃん。少なくともきらってはないよね。優しくしてあげてるし、なんていうか、レットゥーフェルって敵対しない限りは紳士的なんだよ。いや、敵対しても約束まもったり、紳士ではあるか。そう考えると相性いいのかもな。
タスとニニくんを見てにまにまする俺をほうっておいて、ユラちゃんはリャクークを見た。リャクークは、仲間の傍に居たいのか、馬車近くに陣取っているのだ。ユラちゃんが三歩近寄って、リャクークの鼻面を軽く撫でる。「こいつ、どれくらいのせられるの」
「え? あー、いつもふたり、せなかにのせてくれるよ。最初は俺とニニくんがのってて、次はニニくんとミエラさん」
「そ」
ユラちゃんは振り返って、ニニくん達三人へ云う。「あんた達、ちょっと来なさいよ。そこの三人」
三人はびくっとしたが、ユラちゃんが別に咎めるような調子でも、険しい目付きでもないとわかったらしく、おずおずとやってくる。タスもついてきた。
カルナさんが云う。「なんですかしら、レフオーブル嬢」
「命令よ。あんた達は馬車にのんなさい」
ユラちゃんは恬然としている。おそらく、三人ともユラちゃんよりも歳上だと思うのだが、まったく物怖じしていない。
ユラちゃんは自分に絶対の自信があるので、ひとに意見を伝える時に遠慮はないし、正しいなら誇って間違いだったなら素直に謝罪するという、なかなかの美徳を持っているのだ。




