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チャタラ達は心配そうだったけれど、エクシザが納得したのでそれでいい。俺は三人に魔力を分け、一緒にみんなのもとへとぼとぼと戻る。
実際のところ、人間と戦う場面が訪れるかどうか、わからなかった。もし、攻撃がやまないなら、反撃はやむなしだ。エクシザやタスが不当に攻撃されるのを黙ってみていられる程、俺の心は豊かじゃない。
が、駆使魔法がある。そう偽装できるのなら、問題はない。ネックなのは、大きなまちへ這入る時の審査だけど、あれって「駆使魔法で操れるかどうか」を調べているんだっけ? 使役に上書きできるのかな、駆使魔法。それとも、職業加護と魔法だからまったく別物で、上書きじゃなくダブルでかけることができたりしたら、厄介なことになりそう。
うーん。考えれば考える程、文明との接触に困難が多い気がする。審査らしい審査のない小さな村なら安全なんだろうけど、レントに行くのはやめておいたほうがいいかもしれないな。ゲームみたいに、一度ためしてだめならロードする、ってことができないのがつらい。
ニニくんがタスの胴体に両腕をまわしてぎゅーっとしている。タスは腕をだらんとおろし、足許に槍を置いていた。恨めしそうに俺を見ている。「マオ、よくもあんなことを云ってくれたな」
「ごめんてば」
口を尖らす。「何故お前が不満そうなんだ」
「人助けでしょ。タス、レットゥーフェルの王ってわりにちょっとけちなんじゃない」
「な」
低声で付け加えた。「大体、本当にいやなら逃げられるでしょ、タス?」
絶句したタスから目を逸らし、ニニくんへ云う。
「ニニくん、タスが苦しそうだからちょっとはなれようか」
すっかり無口になってしまったニニくんは、ぱっと腕を解き、タスの袖を両手で掴んだ。タスはかがんで槍を拾い、右手に持つ。タスって両手使いっぽいよね。どっちの手も器用。
「あの」
ニニくんがか細い声を出した。俺は、うん、と云って、俯いたニニくんの顔を覗きこむ。「どうかした? 気分、よくない?」
「……ほんとに、もらっていいんですか」
「おい」
「いいよいいよ、約束だもんね」
「お前」
タスに攻撃されかねないので、俺はバックステップで逃げた。タスはしかめ面で睨んでくるが、ニニくんの手を振りほどこうとはしない。ニニくんは晴れやかな顔で、嬉しそうだった。仕方ないでしょ、約束なんだから。
少なくとも、荒れ地を出るまではタスには我慢してもらわないといけない。我慢だとしてだけど。
ニニくんが安定していないし……額の印がなくなったら、井でも廟でも、ゆっくり療養できるところへ行かせてあげられるしね。
リッターくんが馬車の準備を調えたそうなので、そちらへ移動する。タスとニニくんの足許では、チャタラ達がとびはねていた。タスがそれを睨む。「茶化すな」
誤字報告ありがとうございます。助かります。
感想ありがとうございます。はげみになります。
ニーバグ背負ったユラちゃん、可愛いけど、ユラちゃんの体力的に厳しそう(;´Д`)
でも可愛いですね。うん。可愛い。




