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ヨヨを見る。リッターくんの膝の上で、舟をこいでいた。ユラちゃんがそれをつつこうとして、ほーじくんに停められている。
俺は妹からの手紙を収納した。
手紙のあと、実際どうなったのかはわからない。だが、こうやってヨヨは生きているし、そこまでやつれた様子もなかった。毒状態だったのを除けば元気だ。多分、妹とおじさんが頑張ってくれて、常に毒状態以上の苦しい環境にはならなかった。そして、その間に封印が解除されたんだろう。
甘いものは魔力を補うと云われている。ニーバグはお菓子が好きで、妹はそういうものを与え続けていたみたいだから、魔力が常に多い状態が続いていたんじゃないかな? そうなると、封印は解けやすい筈だ。俺だって、魔力薬を口に含んだ瞬間、封印が解けてこちらへ戻った。
「マオ?」
リッターくんが気遣わしげに云う。俺は頷く。「うん」
「先程のは、なんだったんだ」
「ちょっとね」
まだ、ユラちゃんとリッターくんには、俺が異世界出身だとか、封印中にそこへ戻っていたとか、そういったことは説明していない。今は喋れる情況ではない。
丁度、ニニくん達が戻ってきたので、やっぱり話し始めなくて正解だった。あ、ニニくん、後ろからタスに抱き付いてる。
ヨヨと手をつないで、外に出た。ほーじくんとタス、カルナさんで、幕屋を解体している。ニニくんはリッターくんの治療をしていた。リッターくんは椅子に腰掛け、ニニくんはリッターくんの頭に手をかざしていた。傍にミエラさんとユラちゃんが立っている。
さすがに、ホートリットの一撃をくらっては、リッターくんでも軽い怪我ではいられなかったのだ。もし不倒がなかったら、とちょっと考えて、こわい。頭を攻撃されたみたいだし。エクシザも、悪気はなかったんだろうけど、俺がもっとちゃんといいきかせておくべきだったな。
ニニくんはユラちゃんリッターくんとはまだ、きちんと自己紹介をしあっていなかったので、リッターくんの治療のあとにお互いの名前を教え合っていた。ユラちゃんがふんっと鼻を鳴らしている。「癒し手の拒否なんて、そんな理由で荒れ地おくりにするの? 神聖公ってどうかしてるんじゃない」
大胆な発言に、ミエラさんが目をまるくしている。ニニくんは首をすくめた。リッターくんが淡々と云う。
「すまない。こいつはよく考えて喋るということができない性質だ」
ユラちゃんがリッターくんをはたこうとして、避けられ、よろけて転んだ。いつものやりとりである。




