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なっちゃんとしずくちゃんには、もしもに備えて俺がおしつけた大粒のダイアモンドなどを持っていたので、それを見せて説明した。
勿論、それだけで納得はしてくれない。だが、俺がした話をなぞるように伝えると、ふたりは最後にはわかってくれた。純愛、可哀相、しあわせになっていてほしい、と感動していたとか。ちょっとはずかしい。
あーくんと多辺先輩は翌朝戻ってきて、妹はそのふたりにも説明したが、なっちゃん達とは違って妹の主張をすべて受け容れてはくれなかった。まあ、当然と云えば当然だよな。兄が異世界に行っていて……なんて、即座に受け容れるほうがかわっている。妹はチャタラに襲われて、俺が持っていたお薬で怪我があっという間に治ったから、すぐに信じた、んだろうし。
だがふたりも、妹が俺の話を信じていること、ニーバグが俺が話した特徴に合致していることは納得してくれた。
そこで話し合った結果、とりあえず妹の目的である「兄への手紙をニーバグにたくす」ことは達成しよう、ということになった。
もし、妹の(というか、俺の話をもとに妹が云った)言葉が正しいのなら、ニーバグは死なずに時間が経てばもとの世界へ戻る。なので、手紙を持たせておいて、死なないようにまもっていれば時間が経ったら勝手にあっちへ戻るのだから、その時に兄へ渡してもらえばいい。
それまでにニーバグの能力を検証したり、それなりの機関に預けたりするのは問題ないのではないか、ということだ。
妹は最初、渋ったのだが、ニーバグを見ていると前日にあげたお菓子をどこからかとりだして食べていたり、大きな盾のようなものをいつの間にか持っていたり、かと思ったらそれがなくなっていたりする。なので、「お兄ちゃんみたいに収納空間を持ってるんやと思った」。
だから、妹は手紙を書き、ニーバグに渡すと決めた。真緒というひとに渡してほしいと説明するつもり、だそうだ。ただ、研究機関などに預けたら、薬物をつかった検査などがあるかもしれないから、そういうことをしないと約束してくれるところにしか預けるつもりはない、と。たしかに、検査用の薬物がニーバグにとって猛毒である可能性は、低くはない。
多分、最後の一枚っぽい便箋にだけ、通し番号が振られていない。
それには少し乱れた筆致で、オカ研がニーバグを捕まえたことをネットで発信したこと、現地のTV局の取材に応じること、もしかしたらニーバグは環境の悪いところへつれていかれてしまうかもしれないこと、おじさんに連絡して現地の弁護士を手配してもらったことなどが書かれていた。




