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ケータイで連絡をうけた妹は、そこまで走った。もし「悪魔」を見付けても、妹が許可するまで現地の警察、報道機関などに連絡しない、ネットで発信しない、というのも、妹が費用を持つ条件のひとつだったので、誰もそういったことはしなかった。
川っぺりに倒れているニーバグは、妹がお水を飲ませると、目を覚ました。現地のひと達に攻撃されたし、報道関係者には追い回されていたからか、かなり警戒心が強くなっていて、怯えた様子だったが、お菓子をあげると喜んで食べたそう。ニーバグらしい単純……純粋さである。いや、おなかすいて、限界だったのかなあ。俺でもそういう状態なら、喜んでお菓子食べるかあ。
妹は、写真を撮ったり動画を撮ったり大騒ぎの四人を説得し、用意していた布でニーバグを包んで荷物のように偽装し、ホテルへ担ぎ込む。ちなみにだけれど、そのまちは「悪魔」特需で、カメラや撮影機材を担いだひと達が通りを闊歩しており、有名なレポーターやタレントも居たし、ホテルはどこもいっぱいいっぱい、高いお部屋しかあいていなかったそうだ。
ホテルのお部屋で自由にしてあげると、ニーバグは嬉しそうにはねまわり、どこからかとりだした小さなシンバルのようなものを鳴らしていた。妹やケータイをかまえる四人に向かってきて、一緒に踊ってほしそうにし、楽しそうに歌う。その辺も、俺が説明したことと同じなので、ニーバグだと確信した。
四人はUMAを発見したことで大学のオカ研が有名になるとわくわくしていたらしい。が、妹はそこで、自分の目的を話した。
お兄ちゃんには悪いけど、と書いてあったが、そんなことはどうでもいい。おそらく、俺は二度とあちらへ戻らないのだし、妹がつらい立場にならないのならば俺のことはどうでもいい。
勿論、妹が突然、「兄が異世界に行っていた」「この子は兄が行っていた世界の魔物でそっちの世界で封印された」「そっちで封印されたらこっちへ来るらしい」「兄は多分異世界へまた行った」「時間が経ったらこの子も異世界へ戻る」「兄が傍に居るひとのとこへ戻る筈」「だからそれまでこの子を保護して、兄への手紙を持たせたい」と喋っても、四人とも混乱するだけだ。
あーくんと多辺先輩はホテルからいなくなってしまったし、なっちゃんとしずくちゃんは妹を質問攻めにした。異世界ってどういうこと? お兄さん居なくなったの? 異世界に行ってたって証拠はあるの? どうしてまた異世界へ行ったの? などなど。




