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世界各地でUMA目撃情報が相次いでいたことで、夏休みだけれどオカ研はフル稼働状態、妹の友達以外の子達も大学の部室に集まって毎日活動していた。妹が札束を持っていって、フランスUMA捜索を持ちかけると、志願者が相当出たそうだ。普段、仲間達でこつこつ貯めたお金で、岩手座敷童捜索、とか、九州河童探訪、とか、中国地方でヒバゴンさがし、とかを卒業旅行がわりにやっているオカ研にとったら、降ってわいたような幸運だったらしい。そんなようなことをあーくんに云われた、と書いてある。
結局、一緒にフランスへ行ったのは、バイトをすぐに休めたあーくん、なっちゃん、しずくちゃん(紫澄光という表記らしい)の三人と、多辺先輩というフランス語専攻の先輩だけで、翌々日には妹含めた五人でフランスへ飛んだ。
妹はどうも、お金をかなり貯めていたらしい。家族のことだから出し惜しみしたくないしと、必要そうなものはすべて妹が代金を持つことになっていたそうだ。同行した四人のホテル代もそうだし、食事代、飛行機代など、すべて。そのかわり、妹がやりたいことをする。
妹は、子連れの主婦に撃退された「悪魔」が目撃されたところへ行ったのだ。俺が、それはニーバグで、危険はない、人間に友好的で穏やかな魔物だ、としつこいくらいに云っていたから。
現地に着くと、妹はまず、昔ながらの菓子工房をさがした。多辺先輩とふたりだったそう。その間、あーくん達はききこみをしてくれていた。
妹は、昔ながらの菓子工房や、お金を払えばお菓子をつくってくれる主婦をさがしだし、無添加で素朴なお菓子を沢山つくってもらった。これも、あっちのいきものにはこっちのいろんなものが毒みたいだ、という俺の言葉を覚えていたからだ。
材料の製造段階ではいっているものはどうしようもないが、あきらかにこちらの世界にはない人工甘味料などはこの手法で避けられると思ったらしい。マルジャンにお芋をあげる時や、一緒にお料理した時に話したことだが、しっかり覚えていたのだ。あの子は本当に記憶力がいい。
お菓子が完成すると、五人でそれを分けて持ち、目撃情報のある場所へ行った。主婦にノック・アウトされたニーバグだが、死んではいなかったみたいで、その後も目撃されていたそう。あーくん達がその情報を集めてくれていた。
大体2:3で分かれて捜索すること三日、全員の脚が限界に達しそうな頃に、しずくちゃんが川っぺりに倒れているニーバグを見付ける。




