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それで……。
俺はこっちに戻って、直後にほーじくんを助ける為に戦ったり、使役をつかったり、感情がぐちゃぐちゃになるような出来事が続いた訳だけれど、妹も妹で大変だった。
行方不明、というか、姿が見えなくなったのは、俺だけじゃなくエクシザやレットゥーフェル達もだ。それにレットゥーフェルの死体はすべてタスが還元していた。なにもない状態だった訳。
で、文明の利器、ケータイである。あの情況でも、ケータイで撮影しているひとは居た。それも、数人。
レットゥーフェル達が建物を破壊しようとしていたことや、俺がレットゥーフェルにひとりで立ち向かっていたこと(なんかそういうふうにかっこよく見えたらしい)、エクシザやマルジャン達も、ばっちり動画でも写真でも残っている。まあ、さすがに一部始終を動画に残しているひとは居なかったけれど、そこはうまいことつなげば全体の流れはわかるのだ。
とにかく、動画や写真という証拠がたっぷり残っているので、「幻覚」「集団ヒステリー」みたいな決着方法はできない。正体は不明だが、人間よりちょっと大きめサイズの二足歩行の謎のいきものが暴れていた、ということは、警察も認めざるを得なかった。
だから、渓谷になにもない、というのは、誰にとっても不可解かつ困ることなのである。
動画も写真もなかったら、気の所為だとか幻覚だとかで片付けられただろう。でも証拠がある。
ということで、危険な裏道を通って警察官が大勢やってきた。渓谷中をくまなく調べる為だ。
でも、タスが相当くわしく調べて仲間達を還元してしまっていたらしくて、レットゥーフェルの死体はひとつどころか欠片も出てこない。勿論俺も居ないし、エクシザをさがしていた猟友会もらちがあかずにそれをやめた。マルジャン達も、誰も見付けられない。
当然だ。俺達はこっちに戻ってしまっている。
妹は数日、まんじりともしないですごしたが、もし俺が生きているのなら絶対に戻ってくる、そして俺が死んでしまったのなら、マルジャンちゃんがかならず知らせに来てくれる筈、と思ったそう。うむ。マルジャンなら、それくらいしてくれそう。
それで、考えをかえて、一日しっかり休み、歩きなら通れる仮の足場ができていた表の道を通って旅館をはなれた。一度実家へ戻って支度を調え、銀行でお金を下ろして、向かったのは大学のオカ研だ。
あの無鉄砲な妹は、費用を持つから一緒にフランスまでUMAさがしに行こう、と、オカ研の子達に持ちかけたのだ。




