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タスは不機嫌だが、食事は必要である。三人で幕屋へ這入った。
「レティアニナ」
「ニニさま」
ミエラさんとカルナさん、それにヤラも戻ってきていた。マルジャンは、タス達よりもひとあし先に戻っていたようで、ヤラとふたりで顔を近付けてなにかお喋り中らしい。
ミエラさんとカルナさんは、おかゆを少しずつよそい、ホットミルクを飲んでいた。おかゆにはチーズがのっていて、表面がうっすら焼けているのを見るに、ユラちゃんがあぶってあげたのではないだろうか。ユラちゃんって、優しいから、弱ってるひとを放っておけないんだよね。
俺はお芋を数本とりだし、マルジャンとヤラの前へ置いた。ふたりはしゅしゅっと鳴いて、おそらく感謝をあらわしている。お辞儀にお辞儀で返し、今度はタスの為に、くだものをボウルへ盛り付けた。
タスが座ると、ニニくんが項垂れて、はなれる。ミエラさんとカルナさんで、ニニくんの髪を手ぐしで整えたり、おかゆをよそったりしていた。ニニくんは黙り込んで、ほとんど動きもしない。「はい、タスの分」
「ああ。……いちじくはないか」
「あるよ。はい」
タスのボウルにいちじくを追加していると、ニニくんが斜向かいのユラちゃん(まだパンを食べている)を見て、立ち上がった。「ニニくん?」彼はうろうろして、癒し手用の杖を見付け、拾い、ユラちゃんの傍まで行く。水花、と小さく云って、ユラちゃんの治療をしていた。
ユラちゃんがパンをのみこむ。ちょっと驚いたみたいな顔をしている。
「あんた……ありがと」
「いえ」
ニニくんははずかしそうに云って、タスの隣に戻った。杖を傍に置いて、タスの服をぎゅっと掴む。タスがニニくんの頭をぽんぽん撫でた。タスってお兄さん気質だなあ。
ユラちゃんの手首は、ニニくんのおかげでよくなったようだ。どうしてだか残っていたヨーグルトを、彼女はぱくぱく食べる。多分、お匙をつかうのが、怪我した手首では難しかったのだろう。ニニくん、怪我人がわかるのかなあ。熟練の癒し手じゃないとわからない、みたいに聴いたことがあるけれど。
ニーバグはホットミルクや、お砂糖を軽くふりいれたおかゆに夢中だ。クッキーをあげると、また、嬉しそうに食べている。
「その子、どうしたんですか?」
おかゆのお皿をからにして、ホットミルクをすすっているカルナさんが、訊いてきた。俺は苦笑する。
「さっき、見付けたんです。ここに置いていったらひからびちゃいそうだから、つれていこうかと」




