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べっこう飴を口に含み、外へ出た。日が出ていて、空は明るい。今日も晴天だ。大きな砂嵐にあたっていないのは、奇跡だろう。
馬車は昨日と同じ位置にあり、トゥアフェーノ達は馬具をつけたまま、一ヶ所にまとまって眠っていた。そのなかにちゃっかり、リャクークもまざっている。
安心して眠っているらしいリャクークを見ていると、起こすのが可哀相になってきた。なので、木桶にドライフルーツを盛り付ける。それを人数分、そこに置いておいた。
リャクークを撫で、メニューを開いて状態を見てから、幕屋へ向かった。リャクークはなにも問題ない。もともと、トゥアフェーノは荒れ地のいきものだ。
エクシザがついっと飛んできて、俺の隣に降りた。そのまま、一緒に歩く。「エクシザ、おなかすいてる?」
エクシザはこっくり頷く。昨日はあまり、魔物を食べられなかったみたいだ。それだけ、荒れ地の端が近い。浅い地域なら、行に来るひと、収穫に来るひと、薬材採集に来るひとが多いから、魔物の数は相対的に少なくなる。そういうものだ。
幕屋のなかには這入りたくない様子のエクシザに、豚肉の塊と、牛肉の塊を与えた。エクシザは嬉しそうに、それらをついばんでいる。俺はちょっと、エクシザを撫でた。エクシザはいやがらない。
お肉を触ってしまった手を洗った。タオルで拭いていると、背後から声がかかる。
「マオ」
「あ、おはようタス」
声に目を向けると、タスが疲れた様子で歩いてきた。幕屋の裏からまわりこんできたみたいだ。腕のなかにはまだ、ニニくんが居る。ニニくんはタスの首に両腕をまわして、ぎゅっと抱き付いている。「助けてくれ」
「なに? 魔力、足りない?」
「こいつがはなれない」
あら。
ニニくんが更に腕に力をこめたみたいで、タスがぐえっと変な声を出した。目玉がぐるぐるまわりだす。俺は慌てて、ふたりに近付ていった。「ニニくん、タスが死んじゃうよ。腕はなして」
「ぐぐぐ」
「ニニくん、ほしかったらタスはあげるから、ね?」
ニニくんの腕がゆるんだ。
タスが息を整えながら、抗議の眼差しを向けてくる。俺は両手を軽く挙げている。「ごめん」
「お前」
「でも、あのままだとタス、絞め殺されちゃうかと思って。仕方ないでしょ」
「そそのかされて、ついてきたのが間違いだった」
タスが疲れたように云い、ニニくんを抱えなおす。なんだかんだ云って、ニニくんのせなか撫でてあげてるじゃん。タス、やーさしー。




