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ほーじくんが困ったみたいに云う。
「ニーバグ、まだなにか食べたいみたい。できたら、食べさせてあげて」
「うん」
ニーバグの態度を見ていたらわかりきったことなので、俺は苦笑いで頷いた。ニーバグは、なにかもらえるとわかったみたいで、嬉しそうにちょこんと座りなおす。ユラちゃんがその鼻面をつついた。「あんた、小さいのによく食べるのねえ」
その言葉に俺はふきだしそうになって、こらえる。小さいのによく食べるのは、ユラちゃんもだからだ。
ニーバグには、ジャムと桃いりヨーグルト、やわらかいパンにバター、ホットミルク、を用意した。
ニーバグは、人間の子ども程度の知能はあると云われているらしいが、実際それくらい賢いみたい。食事を並べると、俺に向かって丁寧に頭を下げ、しかも食器をきちんと扱っている。お匙でヨーグルトを掬って口へ運び、マグを両手で持ってホットミルクをすすっていた。へたしたら、マナーの悪い大人よりも、綺麗に食べている。
可愛らしい仕種に少し和み、それから思い付いて、リッターくんを見た。
「リッターくん、馬車をひいてるトゥアフェーノ達に、なにかあげてもいい? 干したくだものなら沢山持ってるから、リャクークにあげるついでに。あ、リャクークって、外に居る小さいトゥアフェーノね」
「餌をもらえるのなら、助かる」
リッターくんは軽くお辞儀し、ほーじくんと並んでじゅうたんに座った。リッターくんはまだ、怪我の影響があるみたいで、ほーじくんがリッターくんが座るのを手伝っている。可愛い。
俺はふたりにも配膳する。リッターくんが熱の魔法でパンをあたためようとし、炎がふきだしてしまっている。ユラちゃん以外はちょっと笑った。ユラちゃんは、ぎろっとそれを睨む。
「リッター、きちんと魔法の制御をしなさいって云っているでしょう」
「注意されてすぐにできるのなら、最初からしている」
ある意味筋の通った反論に、ユラちゃんは黙った。ふんと鼻を鳴らして、あたらしいパンをかごからとっている。ユラちゃんの熱魔法のコントロールは完璧で、パンの表面が綺麗な色にかわり、香ばしい匂いが漂った。
「ここにあるもの、どれも食べていいから。ほーじくん、ニニくん達が来たら、こっちからここまでのものだけ食べるように伝えてくれる? 無理はしないでとも」
「うん。マオ、多分ミルク、足りなくなるから、追加しておいて」
ほーじくんは、マグをからにしてホットミルクのお鍋を見ているニーバグを示した。俺はくすくすしながら、ホットミルクをつぎたす。




