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俺ひとりでは調理はできないが、今、マルジャンはタスとニニくんと一緒、ヤラはミエラさんカルナさんと一緒だ。なので申し訳ないが、収納してあるつくったものや買ったものを並べるだけにした。
ピーナツとスクワッシュがはいったトマトのシチューに、焼きたてのやわらかいパン、ブルーベリージャムと角切りの桃がはいったヨーグルト、あぶった腸詰め、ミントティ。パンはごわごわタイプもあるのだが、荒れ地はただでさえ水分が不足してしまうので、たまにはやわらかいパンを食べたくなるのだ。
ニニくん達には、かためのオートミールがゆと、お塩とお砂糖を溶かしたホットミルク、ジャムを数種類に、チーズを幾らか。チーズは後で、マルジャンにあぶってもらう予定だ。はちみつや粗糖はつかっていないメニューなので、おなかを壊すこともないだろう。
お皿を並べ終え、幕屋の出入り口から外へ顔を出した。「ごはんできたよー」
とたとたと、ユラちゃんがやってきた。さっきはおろしていた髪も、しっかり結っている。きがえる、といっていたが、服装はかわったようには見えない。今日も、男装である。
俺はくすっとする。
「ユラちゃん、一番のりだね」
「そうなの? 一番のりに、なにか特典はあるのかしら」
ユラちゃんもくすっとする。
少しさめてしまっていた腸詰めは、ユラちゃんが上手にあたためなおしてくれた。彼女は焼きたてのパンで腸詰めと、ちゃっかり拝借したチーズをはさみ、チーズを熱の魔法でとろけさせてかぶりついている。ご飯の後には綺麗なゼリーを出すと約束させられた。一番のりにはなにかないとね。
「この腸詰め、食べたことない味がするわ」
「そう?」
「凄くおいしい」
あっちで買ったものだ。スパイスの配合が、こちらにはないものなのかもしれない。体に悪影響なんてないよね? 来たばっかりの頃、あちら産のものをいろんなひとに食べさせてしまったが、特に具合が悪くなるなんてことはなかったし、大丈夫だとは思うが。
俺が別の世界から来たことを、ユラちゃん達にも説明しないといけない。そのことが頭をよぎる。「マオ」
ほーじくんの声ではっと我に返った。ほーじくんとリッターくんが、並んで這入ってくる。リッターくんがニーバグを抱えていた。ニーバグはじたばたしているが、リッターくんがじゅうたんの上におろすと、ジャムと桃いりヨーグルトのボウルに釘付けになっている。
ニーバグは大抵服を着ていて、なおかつ口許を隠すような格好をしているのだが、このニーバグはまだおなかがすいているみたいで、布を引き下げて口許を見せている。
感想ありがとうございます。ニーバグ1人ぼっちの異世界大冒険面白そう……!




