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眠っている間に、風の所為なのか砂のなかに居るいきものの所為なのか、軽自動車くらいの砂の山が、目に見える範囲ではふたつできていた。また蟻塚じゃないよな……。
この程度の地形の変化はままあるので、気にしたら負けだ。荒れ地を脱出するには、なにかを目印にするというような愚を犯してはいけない。東西南北を基準にするしかない。
俺は火をつけたランタンを持って、砂山の間を通り、エクシザが示した方向へ行った。砂をどけるだけの力はないから、放置だ。邪魔にもなるまい。ユラちゃん達の馬車は砂山が邪魔で見えないが、居なくなっていたりはしないだろうから、確認もしない。
日はまだ昇っていなくて、でも東の空がうっすら明るかった。ランタンだけでも充分周囲は見える。
今日辺り、本当に村にまで辿りつくんじゃないかな。ユラちゃんもリッターくんも、長い期間荒れ地を移動してきた雰囲気ではなかった。あの馬車、食糧も積んでるんだよな、きっと。ふたり+トゥアフェーノ四頭だから、そこそこの量の食糧を持ってこないと危ない。
トゥアフェーノはサボテンを食べるから、それである程度まかなうとしても……いや、都合よく水場を見付けられる保証はないし、ちゃんとドライフルーツもたっぷり持ってきている筈。それに、ユラちゃんとリッターくんが食べるものを加えると、相当重たい。そんなに大きい馬車じゃなかったけど、大丈夫だったのかなあ。
あのサイズの馬車なら、荒れ地の浅いところをさがす予定だったのかも。リッターくんが万能な所為か、こういう時にすぐにあたりをひくんだよね。万能って、運も上昇するのかもしれない。ユラちゃんなら、レフオーブル家に生まれたんだから相当な運の持ち主よ、とか云いそう。可愛い。
考えながら歩いた。ある程度すすむと、砂山に隠れるみたいにしてほーじくんが座っているのが、目にはいる。彼は膝を抱えていた。後ろ姿がなんとなく、切ない。「ほーじくん」
声をかけた時に、ほーじくんの向こうにリッターくんも座っていて、膝に頬杖をついていること、更に砂山の死角になっていた部分にユラちゃんが立っているのにも気付く。
なにか話し合っていたのなら、邪魔になったかな、と思ったのだが、三人は同時にこちらを見て、困ったような顔をした。「マオ」
「おはよう。みんな、はやいね」微笑んで東の空をちょっとゆびさした。「まだお日さま、出てきてないよ。あ、もしかして俺がお寝坊さん?」
ほーじくんとリッターくんの間から、黒っぽいなにかがとびだしてきた。
感想ありがとうございます。はげみになります。
誤字報告ありがとうございます。ご指摘通りでした。修正しておきます。




