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駆使魔法、というものがある。いきものを操れる魔法だ。基本的に人間にはきかないそうだが、魔につかれた状態の魔物でも駆使できるひとは存在する。
封印は、魔につかれたものに作用する。魔物や、悪しき魂だと、封印がきく。
だから魔物を駆使して、その状態で祇畏士が封印し、封印を解けばいい。封印されたらどんな状態だったかが、確実にわかる。タスのように、人間の言葉を普通に喋る魔物だって居るのだ。
たしか、アーニズやティツィジアーは、かなり流暢に喋ると聴いた覚えがある。レットゥーフェルを駆使するのは難しいかもしれないが、アーニズは駆使されているのをまちなかでも普通に見かけるらしいし、不可能ではない。人間とほとんど同じ外見なので、よく観察しないとわからないそうで、だから俺が気付いていないというだけだ。
そういう、人間の言葉を喋れる魔物を駆使することが、難しいとは思えない。難しいとしても、ニーバグなら意思の疎通は図れる。あいつらがはっきり喋るのかどうかは知らないが、お遣いができるんだぞ。なら、はいかいいえで答えられる質問を重ねていけば、なんとかなる。俺がチャタラふたりや、エクシザにやった、あれだ。封印されたら苦しかった? 封印されると魔力は減るの? みたいに訊いていけばいいじゃないか。
駆使魔法だって封印だって、最近できたものじゃない。ずっと昔からある。その方法で検証した人間がひとりも居ない、なんてことはない。ありえない。
ほーじくんは、封印をつかえる祇畏士になるだろうと目されていた。
なら、ディファーズの祇畏士協会でも、御山でも、封印についてもっと彼に教えていればよかったのだ。やりようは幾らでもあった。時間だって沢山あった。
別にほーじくんや、封印をつかえるようになるかもしれない子達にだけ教えろと云うんじゃない。もっと情報を開示すべきだと思う。封印をつかった祇畏士を殺すなんてばかなことが起こらない為にも。
それがどれだけの損失になるのか、きちんと報せておくべきだ。どれだけ無駄か、を。
ホートリットでさえ、封印されたら絶大な苦しみを味わう、と知っている。チャタラだったら、封印されたらつらいことと、まったく別の世界に行ってしまうこと、封印されても魔力が増えたら戻れることまで知っているのだ。それなのに、どうして人間はなにも知らされていないのか。
文明的ってどういうことだろうなってちょっと思う。




