3681
ほーじくんの云っていることはご説もっともだし、実際俺も、あちらの世界でそういうことを考えていた。
ほかのひとは魔法をつかえないし、魔物と戦ったことがないどころか、魔物との戦いを見たこともないだろう。だから、魔法をつかえて、戦いを見たことがある俺が、対処できる範囲でするべきだ、と。やすでとは泥仕合をくりひろげたこともあるしな。
ほーじくんがこんなふうに考えてしまうことを、予想すべきだった。俺はすぐに、云わなくてもいいことまで云ってしまって、こんなふうに後悔する。ばかだ。
ほーじくんは悪くない。絶対に。軽率、とも思えない。
だって、知らないのだ。封印したら、封印されたものはどうなるのか。
それはほーじくんの所為じゃない。封印について秘匿している、すべての国家や公共機関の所為だ。
神聖府だけが封印について、一般には知られていないことを知っている、とは思えない。祇畏士がディファーズだけに生まれるなんてことはないからだ。ディファーズでは祇畏士が位をもらえたり、それに相当するような扱いをうけることがある、というだけだ。
ディファーズが祇畏士を優遇するから移住する祇畏士が多い、とは聴いたことがあるけれど、そうは云っても千年前にできた国である。こちらの感覚だと、たった千年前、だ。
シアイルは、かつてこの世界にたったひとつあった、とされる大きな国がもとになっている。反乱や神聖領の独立など、混乱はあったといえ、当時の国の上層部は資料を持って現在のシアイルへ逃げただろう。そのなかに祇畏士の資料がなかったなんてばかなことはあるまい。
大体、紙の資料を持たなくたって、智慧者がそういったものの管理を任されているに決まっているのだから、そのひと達が逃げた先で書きおこせばいいのだ。だから、シアイルは祇畏士に関する資料は確実に持っている。
ロアだって、その自由な気風にあこがれ、締め付けの強いディファーズやシアイルをぬけだして行くひとは後を絶たない。祇畏士だって居るに決まっている。ロアの祇畏士だけが封印をつかえないなんてことはない。魔力の少ない人間が多いロアは、シアイルやディファーズに張り合う為に、魔法についてはきっと対応策を研究している。
そして裾野だ。裾野、というか、御山だな。御山は絶対に、封印についてある程度の事情を知っている。昔の国の宮廷があったところで、王族が逃げ出した後も多くの官吏が残っていた場所だ。
感想ありがとうございます。はげみになります。




