表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3820/6868

3679


 ほーじくんはまだ、うまく想像できないみたいだが、頷いてくれた。

「あの……マオの世界、大変なところ、だね。こわいこととか、あぶないこととか、沢山あったでしょう?」

 ほーじくんらしいというか、こちらのひとらしい感想である。俺は小さく頭を振る。砂が動く。

「そうでも。神さまは身近じゃないけど、その分決まりがしっかりしてて、厳しいし、道具がいろいろあって便利だし……あ、そうだ、魔法もないよ」

()()()()?」

 今度こそ、ほーじくんは言葉を失った。


「ええっと。あと、職業もないな。お仕事はあるけど。あ、そっか、そうだよ。ごめん、先に云っとけばよかったんだけど、井もない。能力証も。水面に文字がうかびあがるなんてこと、ないから」

 俺がそこまで云うと、ほーじくんは俺をぎゅっときつく抱きしめた。「ほーじくん、どうしたの」

「……そんなの、こわいとこだよ」

 あー。こわがらせてしまった、みたいだ。

 俺はほーじくんの頭を、ぺたぺた撫でる。ほーじくんは俺のせなかに爪をたてている。

「神さま、居ないっていうの、わかった。居るかもしれないけど、神さま、凄く厳しい。じゃなきゃ、人間に興味がないんだ」

「そうかな……あ、それとね、魔物も居ない」

 ぱっとほーじくんがはなれた。きょとんとしている。俺は続ける。

「魔、っていうものが、そもそもない。少なくとも俺は見たことないし、そういうものがあるって話も聴いたことない。あと、還元もないよ」

「魔……ないんだ」

 頷く。

 ほーじくんは口を噤み、なにか考えているふうだ。邪魔をしたら悪いかなと思って、俺は黙る。ほーじくんの髪をそっと、指で()く。

 二分ぐらいして、ほーじくんはふーっと息を吐いた。「あのね、マオ。きっとね」

「……うん」

「きっと。マオの世界の、神さま達は、きっと、みんなで頑張って魔をなくして、それで疲れて、お休みしてるんじゃないかな。多分、そうだよ……」

 ほーじくんはそんな、可愛らしいことを云う。神さまは居て当然、という世界で生まれ育ったのだから、そういう考えになるのはおかしなことではないのだろう。

 ほーじくんは目を伏せる。

「厳しいとか、人間に興味がないなんて、云っちゃいけなかった。ぼく、失礼なこと、云っちゃったから、マオの世界の神さまに、ごめんなさいする」

「うん。怒らないと思うよ」

「そうかな……そうだね。魔をなくしてくれた、優しい神さま達、だもんね」

 ほーじくんが優しいと思う。そういう発想をできる辺りが。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ