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「俺の言動は、わかりにくかっただろうか」
「……あ。えっと……」
「俺はやはり、お前に謝らないとならないようだ」
リッターくんは軽く項垂れる。「紛らわしいことを云ったらしい。すまん」
「え、あの、勘違いしたのは、ぼくだし」
「いや、俺の云ったことがよくない。それに、やはり、あんなふうにお前を責めたのは間違いだった。お前が判断を他人に委ねていたというのなら、俺はその反対で、自分ひとりの判断だった。他人を無視して、自分ひとりのことしか考えていなかった。迷い子が親を求めて泣き喚いているようなものだ。子どもならともかく、大人がやるべきことではない」
「あのさ」
口をはさむ。ふたりは同時にこちらを見た。
俺は笑いたいのか泣きたいのか怒りたいのか、感情がなんだかおかしなふうになっていて、溜め息を吐く。
「前から思ってるけど、リッターくんだってほーじくんだってまだ子どもだよ。ユラちゃんも、ミューくん達も、みんなそう。失敗、するもんなの。ていうか、大人であっても失敗はする。だから、謝って、ゆるしてもらったら、次のこと考えてね」
なんだかまとまらない文章になってしまったが、ふたりは神妙な顔で小さく頷いた。可愛い。
リッターくんは、ユラちゃんの傍に居てくれるそうだ。ほーじくんが、ユラにごめんって伝えて、と頼んでいる。リッターくんは頷いて、俺が渡したかえの剣を持ち、馬車へ向かっていった。
リャクークがリッターくんにぴいぴいと鳴いている。リッターくんは馬車の扉をノックしたが、色よい返事はなかったようだ。そのままステップに腰掛け、腕を組んで項垂れる。
俺とほーじくんは顔を見合わせて、腕を組み、少し歩いた。
ニニくんとタスの声が聴こえてくる。ニニくんは涙声だ。タスが宥めている。「お前は悪くない」
ニニくんは、捕まった後になにがあったのか、タスに話しているらしい。かなり個人的なことなので、聴くべきではないだろうと判断した。俺はほーじくんの腕をひっぱって、昼間、あの蟻塚みたいなやつが居た辺りまで行く。
ここなら、幕屋からも、馬車からも、そこそこはなれている。俺達の声が聴こえることはないだろう。
かすかにななめになっている砂に寝転がった。「マオ?」
「ほーじくん、話したいことあるから、隣に居て」
ほーじくんは頷いて、俺の隣に寝転がった。
熱が奪われるのがつらい。俺は収納していた毛皮のローブを出して、被った。ほーじくんも一緒だ。
星空にはのしかかってくるみたいな迫力があった。




