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俺達三人は、それを見ていたが、数秒してリッターくんがゆっくりと、そちらへ歩き出した。ほーじくんが追うそぶりを見せる。「リッター」
「ほーじ、お前は来るな。マオも」
リッターくんは立ち停まって、振り返る。「ほーじ。あの時、お前に対して云ったことは、すべてとりけす。俺はあんなことを云うべきではなかった。軽率だった」
「そんなことない」
ほーじくんが強く云った。あおざめた顔でリッターくんを見詰めている。
「ぼくがやったことは、間違ってた」
「ほーじ」
「待って、リッター。聴いてほしい。ぼくも、リッターが云ってたことやったこと、全部が正しいと思ってる訳じゃない」
リッターくんは口を噤む。ほーじくんはちょっとあえぎ、必死な様子で喋る。「ぼくは……リッターがやったことで、間違ってるのは、サキやユラを責めたこと、だと思う。ぼくに対して、云うべきだった。全部。サキもユラも、リッターを邪魔したり、リッターを傷付けたりした訳じゃないから。だから、リッターは、ふたりには間違ったことした」
「ああ」リッターくんはあっさり、認めた。「そうだな。それはわかっている。俺はあの時、頭に血がのぼっていた。だからといって、ユラにも、サキにも、それにミューにも、やつあたりすべきではなかった。ジーナやリオをこわがらせたのも、俺の落ち度だ」
ほーじくんは三秒くらい考え、小さく頷いた。
「あれは、ぼくが責められるべき、ことで、だから、みんなには争ってほしくなくて、それで……」
「俺が、お前をまっさきに責めた。それで、みんなの感情をあおった。それは、たしかによくなかった」
ほーじくんは頭を振る。「そうだけど、そうじゃなくて、そもそもぼくがやったことが原因」
「ほーじ……」
「ぼくは間違ってた。リッターが云ってたこと、ずっと考えてた。悪いものを開拓者が消さないのはどうしてかって。たしかに、開拓者は魔物を消してくれないし、悪いことするひとも居なくならない」
うん?
あ、もしかして、この間タスが云ってたようなこと、リッターくんも云ったのか。
ほーじくんは自嘲気味に笑う。
「ぼくみたいな、ね。わるいことする……。あの、ぼくは、それはまだわからない。けど、考えて、考えてたら、ひとつだけわかった」
ほーじくんは、苦しそうに呼吸する。リッターくんが数歩戻ってきた。でも、それ以上はほーじくんに近寄らない。
「ぼくは、間違ってた。行動がどうとか、じゃない。判断を、他人に委ねた。公がこうしろと云ってるから正しい。そんなふうに」
感想ありがとうございます。はげみになります。




