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「ま、考えてはいたことだけど。でも、もっと長い時間がかかると思ってたわ」

 俺の苦笑に気付かず、ユラちゃんは足許を見て慎重に、砂の丘を降りている。彼女が――というか、俺達が――踏んだところは、力がかかってその近辺が崩れ、さらさらと砂が滑りおちていった。砂が砂の表面を滑っていくのって、なんとなく綺麗だ。

 ユラちゃんは云う。

「ほら、封印って、なかなか解けないから。凄く時間のかかる印象があったのよ。調べてみても、そうだったし。封印が解けるのって、みっつあるのよね、情況が。いつの間にか自然に解けた、っていうのと、封印をつかった人間が死んだら解けた、っていうのと、自分で封印を解いたっていうの」

 指折り数える仕種が、ユラちゃんにしては子どもっぽく、可愛かった。

「三つ目は、できるひととできないひとが居るらしかったし、ほーじが封印を解くとしたら、少なくとも荒れ地じゃないでしょ。マオは体力ないんだもの」

「ユラちゃん」

 思いっきり体力の低さを指摘されたので、つい口をはさんだが、ユラちゃんはぺろっと舌を出すだけだ。「ほんとのことでしょ」

 それを云われたらどうしようもない。たしかに体力低いです。


 ただ、ほーじくんが任意で封印を解けるとしたら、それを荒れ地でやっていた可能性は、高くはないがないこともない。

 もし、俺が失踪して長い時間が経っているのなら、御山(おんやま)で封印を解くことはないだろう。なにしろ御山(おんやま)から唐突に消えているのである。

 突然姿を消し、完全に居なくなった、と思ったらまた突然出てきた。これはどう考えてもおかしいから、御山(おんやま)は俺を調査する。

 そうなったら、井で能力をたしかめるのは確実だ。つまり、俺の悪しき魂はばれる。

 でも裾野には、「荒れ地から出てきた人間は善良である」という考えがある。

 荒れ地は神さまの領域で、そこから生きて脱出できたということは、それだけで神さまに認められているのと同じだ、と。ツァリアスさんとベッツィさんも、シアイルから荒れ地経由で裾野に這入ったから、いろんな審査をすり抜けることができた。

 ほーじくんは、昔から何度も(ぎょう)に来ているのだ。それくらいは知っているだろう。ってことは、封印からかなり時間が経ったけれどやっぱり解こう、となれば、荒れ地を選ぶ。俺が荒れ地から戻れば、失踪については訊かれるだろうが、厳しい追及はない。

 だからって、能力証をとれない不便はかわらないけどな。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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