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お菓子を食べてしまって、俺達は片付けをし、じゅうたんを仕舞って、砂の丘を降りていった。砂は滑るので、俺はユラちゃんと手をつないでいた。リッターくんは、ほーじくんに肩をかしてもらって、ひとあし先に降りている。ほーじくんが戻ってきて、俺とユラちゃんに手をかしてくれた。
下で、リッターくんがぼんやりと、俺達を見上げている。星明かりの所為か、顔色はとても悪く見えた。もう一度、ヤラかニニくんに治療してもらうべきだろうか。
「それにしても、ほーじ、あんたって運がいいのか悪いのかわからないわね」
「え?」
「行の最中にマオが戻ってくるなんて。だから、マオとふたりで逃げたんでしょ? あんたの家族があんたをさがしてるって情報がはいった時、驚いたんだから。それでわたし達、馬車をかりて、ここまで来たのよ」
あー……。
ユラちゃんとリッターくんが、どうしてあらわれたのか、その理由はわかった。レフオーブル家とロヴィオダーリ家の情報収集能力は、とてつもないのだ。
そしてふたりとも、シアイルでは成年である。ふたりの家族は、ふたりを子ども扱いしない。情報をかなりの部分教えてくれるらしい。前にもそういうことがあって、情報収集能力の凄さは実感している。
そっか。やっぱり、ほーじくんの云ってたとおり、サーダくんはほーじくんをさがしに、行を切り上げて戻っていったんだ。
もしかしたらだけど、ユラちゃんは俺が戻らないか考えていたみたいだから、ほーじくんやその家族の動向を見張るように誰かに頼んだり、なにか動きがあったら報告するように云ったり、しているのかも。それで動きがはやかったんじゃないだろうか。
ただユラちゃんは、行の最中に突然、封印が解けて俺が戻り、ほーじくんとふたりで姿を消した、と思っているみたいだ。
ほーじくん行方不明、さがしてみたら俺も居る、となったら、そういう勘違いをしてもおかしくないかもな。
行は何日もかけて行うもので、拠点をつくってそのまわりの魔物を退治し、滅却をする、らしい。
ひとつの地点を中心にして、毎日その近辺をうろうろして魔物退治しているのに、俺が突然出てきたら、おかしい。もしかしたら、生きものを察知する特殊能力を持っているひともいるかもしれないし。
だから、ほーじくんは俺をつれて一旦拠点を離れ、ふたりで荒れ地を出て、俺を荒れ地で見付けたことにしようとした……みたいに、ユラちゃんには思われているようだ。




