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魔王の職業加護について、ユラちゃんは興味津々だ。無言でマサーラーチャイとクッキー、クラッカーを消費するほーじくんとリッターくんを尻目に、俺にどんどん質問してくる。
「状態異常無効、魔法なら少しはきくのね?」
「みたい。瞑瞑はきいたし、叫喚はかなり」
苦笑する。レットゥーフェルと戦った時、叫喚で相当苦しめられたのを思い出したのだ。あれはつらかった。
叫喚って、状態異常だけじゃなくて、なんかわからんが怪我もするんだよな。あれ、結構痛い。
俺の場合、怪我は偸利でどうにかするしかない。偸利は目視しないときかないか、効果がおちる。でも、叫喚で起こる状態異常はどうしてだか効果が少し長引く。視野がぐんにゃりゆがんでいるので、偸利を外しやすい。つまり、叫喚でできた怪我はどうしても治りにくくなる。
癒しの力があったらなあとちょっと思ったが、そもそも冒瀆属性に恢復魔法はない。そして俺は冒瀆魔法しかつかえない。つまり癒しの力は無駄。
「特殊能力は、なんなの」
「収納空間と、……あ」
口を噤む。
ちょっと考えてから、左手を軽く挙げた。「ごめん、これはあとで。先に話しておきたいひとが居るから」
「どうせ、ほーじでしょ」
う。
黙った。ユラちゃんはにやにやしている。完全に、見抜かれているようだ。
ユラちゃんが知りたいのなら、俺の特殊能力について話すのはやぶさかではない。でも、言語:異世界LV.MAXについては、先にほーじくんに話しておきたい。
というか、俺が別の世界から来た、ということは、まず最初にほーじくんに明かしたい、のだ。
あほみたいだが、俺が別世界から来たと云うことは、まだほーじくんには話していない。封印が解けたり、ほーじくんが落ち込んでいたり、癒し手拒否で死刑相当とか云う衝撃的なものを目の当たりにしたりと、いろいろとたてこんでいた。それで、つい、俺がどこから来たのかについて話すのを忘れていた。
それに、ほーじくんは封印のことを本当に後悔している。その間、俺がどうしていたかを話そうとしても、哀しそうに目を伏せられたらなにも云えない。
でも、俺はそんなにつらい目にあっていた訳じゃない、というのは、きちんと伝えるべきだろう。ほーじくんの気持ちが和らぐかもしれない。
ユラちゃんはマサーラーチャイにクッキーをひたし、おいしそうに食べている。とうのほーじくんは、俺とユラちゃんの会話には気付いていないみたいで、リッターくんの手にできたたこをしげしげと眺めていた。
ああいうの、前ならミューくんが治療していたのに。
感想ありがとうございます。はげみになります。




