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タスが飛びだしていく。「カルナ?」
ニニくんがカルナさんを揺さぶり、声をかける。燕息をつかったが、カルナさんは起きない。そして、ニニくんまでころんと横になってしまった。ミエラさんは横になっていて、ぴくりともしない。
なんか、やばい。
使役している全員に体力と魔力を譲渡した。
「エクシザ、三人をまもって。ヤラ、マルジャン、三人を見てて。まずそうだから、恢復お願い」
ふたりがぴょんととんでいく。エクシザは面倒そうにけんと鳴き、どたどた歩いていった。
俺は、杖を握りしめたほーじくんを振り返る。ほーじくんが頷き、俺達は幕屋から出た。
タスがどこに居るのか、俺にはわからない。使役されていると、使役している者の位置がわかるそうだが、その逆はわからないのだ。不便である。
「タス?」
「マオ、あいつらを殺せ」
タスが上空から槍で一点を示すが、あいつらがなんなのか、わからない。っていうか、見えない。
が、そこになにか居るらしいので、偸利をつかった。体力が恢復した感じがするので、やっぱりなにか居るのだろう。
あ。
「もしかして、あの、あれ? 死体に寄生してるやつ」
「そうだ!」
ちくしょう! あいつら、小さい時は見えないって、見えにくいとかじゃなくてほんとに見えないじゃん!
あの、蟻塚みたいなやつだ。傍に居るだけで体力も魔力も吸いとるという冗談じゃないやつ。きちんと見えないのは本当に厄介。
とにかく、手当たり次第偸利をつかうことにした。ほーじくんがぱっと舞いあがり、低声で云う。「清絶」
なにか居る、というのはなんとなくわかる。砂がもぞもぞしているからだ。ただ、それが風で動いている可能性もあるから、つまり正確なところはわからん。
偸利をつかっているのに、恢復はあんまりしない。多分、それ以上に奪われている。俺はそれでも、使役している全員に体力と魔力を譲渡した。
そうしないと、マルジャン達とエクシザが三人をまもれない。それに、ほーじくんがひからびてしまう。タスは大丈夫かもしれないが、極限状態で取捨選択がうまくいかない気がしたので、全員に分けることにした。
ふらふらしてきた。
眩暈に片膝をつく。「マオ」ほーじくんが舞い降りてきた。顔色が悪い。休憩中で、頭に巻いた布をとっていたから、それがはっきり見える。
砂が震え、人間の拳くらいのものが唐突にあらわれた。体力や魔力を吸いとって、大きくなった、ということだろう。




