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あ……そっか、そういうおそれもあるんだ。
俺は小刻みに頷く。たしかに、タスやエクシザは丈夫なほうらしいから、一撃でおちることはないと思う。顔を合わせた瞬間に攻撃されたとしても、俺かほーじくんが飛びだしていって、駆使しているのだと説明すれば、納得してもらえる筈だ。特に、ほーじくんはどこからどう見ても祇畏士だからね。羽持ちがこんなところに居て、祇畏士でないと考えるひとは少ない。
だから、タスとエクシザについては心配しないでいい。ただ、マルジャンとヤラはふたりほど丈夫じゃない。攻撃をくらったら、それで死んでしまう、ということは、たしかにありうる。
俺はうーんと唸ってから、云った。
「マルジャン達には、後ろを歩いてもらう。それでどうかな」
「それが順当だろうな」
タスは云い、立ちあがって、見張りをしているマルジャン達に近付いていった。説明してくれるのだと思う。
「マオ」
「うん、なに、ほーじくん?」
いつのまにか、ほーじくんが上体を起こしていた。ほーじくんはなにか云いたげだけれど、黙っている。
彼はなにも云わなかった。日が和らいで、俺達はまた、西へ向かって歩く。
砂はさらさらしていて、服やくつに這入りこむし、不快だ。
その日の晩、今度は本当に水溜まりみたいな、洗面器くらいの水場を見付け、俺達はその傍に幕屋を建設した。洗面器くらいでもお水はお水で、サボテンが生えている。残念ながら、廃帝花はなかった。それは、かなり西へ来たという証拠だろう。
それに今日は、魔物といきあわなかった。それって、この辺りまでは行に来るひとが多いってことじゃないかな。収穫のひと達も、戦える場合は戦うみたいだし、ダストくんみたいに強い子も居るし……。
砂まみれになった体をざっとお水で洗い、清潔な服を着て、俺は洗濯をした。さいわい、マルジャンとヤラがお水やお湯をつくれる。大きなたらいに熱いお湯をいれてそれで粉せっけんを溶かし、温度を調整して、汚れものをいれたらしばらく踏む、という、俺のお得意の洗濯方法である。移動であしをひっぱっている分、こういった部分で貢献したい。
まだゆすいでいないものを収納し、別の汚れものを洗う。それを繰り返していると、サフェくんのことが思い出された。連鎖的に、ランスさん、ディロさん、ワウラさん、アーシェさんやルクトくんや、同期のみんなのことを。
俺、どうなるんだろう。もどったとして、御山は俺をどう扱う? 業務中に姿を消したと思ったら、荒れ地から戻ってきた奉公人を。




