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もしかしたら、あのくぼみは、子どものトゥアフェーノをのせる為のものかもしれないな。トゥアフェーノって、子育てを結構長い期間するらしいのだ。
ダストくん達は、子連れのお母さんトゥアフェーノを捕まえて人間に慣れさせ、売っていた。子どもをつれて、とぼとぼ歩いていたり、砂をほじくり返していたりするらしい。だからやっぱり、あのわずかなくぼみは、子ども用なんじゃないかな。そういうふうにのりやすいから、人間がトゥアフェーノを捕まえだしたんだと思う。
「リャクーク、今日は俺はのらないからね」
リャクークがぴいと答えた。ほーじくんが小首を傾げる。俺は、ミエラさんが歩くのは難しそうだということを説明し、ほーじくんはすぐに納得する。
リャクークに餌をあげながら、俺とほーじくんは他愛ないことを喋った。今日は魔物に遭遇するだろうか、とか、なんとか、そういうことである。相変わらず、ミューくん達のことはこわくて訊けない。
「あのね、マオ」
「うん」
ほーじくんがそれまでの会話を唐突にやめて、呼びかけてきたので、俺は彼を見る。ほーじくんは足許を見ていた。
「きのうのはなし」
「……うん」
「あにさまが、帰っちゃったんだろうって、云ったでしょう?」
うん、ともう一度云う。ほーじくんは、髪を神経質な手付きでいじる。手にはあまり、お肉がついていなくて、もうちょっと食べさせてあげないといけないと思った。
「多分だけど。ぼく、ファズダあにさまみたいに、死のうとしたって、思われてる、気がする。だから、サーダあにさまは、ぼくをさがす人手を……」
「応援を頼みに戻ったってこと?」
「そうじゃないかなって……丁度、ネクゼタリーあにさまが、レントに居るし……」
ああ、そうか。ほーじくんの云いたいことは、なんとなくわかった。
宗教的に、自殺とかなんとかはありえないことだけれど(そのくせ受験失敗したら、狂言で自殺未遂したりするけどね。感覚がよくわからん)、サーダくんはファズダさんのことがあるからすぐにそういう発想になる。
それで、ほーじくんが死のうとしてるのでは、と思ったら、それはディファーズ社会的にはじなので、家族でさがそうという考えになる。
もし誰も居ないならサーダくんひとりで来るだろうけれど、たまたままんなかのお兄さんがレントに居るから、それを呼びに戻ることはできなくない。なので、なにか理由をつけて行をきりあげ、ネクゼタリーさんと話し合って、まずい状況だと判断したらサーダくんは伝糸持ちだから、ほかの家族に連絡できるところまで移動して……ということも、できる訳だ。




