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ほーじくんが俺の前まで来て、おずおずと俺の手を掴んだ。俺はにこっとして、ほーじくんを抱きしめる。ぎゅっと、強く。
それからすぐに離れた。
「じゃあ、出発しようか」
リャクークはそこまで大きなトゥアフェーノじゃない。人間をふたりのせることができるくらい、と、ほーじくんが判断した。彼は、行によく来ているので、荒れ地の生きものであるトゥアフェーノに、それなりに親しんでいるようだ。
と思ったのだけれど、いつかダストくんが云っていたみたいに、昔はディファーズでもトゥアフェーノが馬車をひくのが一般的だったらしい。それとも、向かう先が荒れ地だから、トゥアフェーノにひかせていたのかな?
「ちいさいころは、荒れ地の近くまで、馬車で来てた。トゥアフェーノの」
ほーじくんはそう云いながら、ぺたぺたとリャクークの鼻面を撫でた。「お前、ちゃんとマオのことまもってね」
かわいい。
ふたり、ということで、俺とニニくんがリャクークのせなかにのることになった。俺が歩いていたら移動は遅々として進まないし、ニニくんは癒し手なので、疲れないようにしてほしい。
俺がのることについては、ほーじくんとタス、マルジャン達にエクシザの意見が完全に一致したし、ニニくんをのせることについてはニニくん以外が主張した。
カルナさんとミエラさんは、ニニくんが体を張って食糧を手にいれてくれていたことに罪悪感があるみたいで、とにかくおとなしくしていてと頼んでいる。ニニくんは渋っていたけれど、タスの鶴の一声でトゥアフェーノのせなかにのることを承知した。
「マオと同じで体力がないようだから、足手まといだ」である。言葉はきついが、カルナさんとミエラさんがほっとした様子だったし、タスは気遣いの子だから、気を遣ったのかもしれない。ちょっと憎らしいのはなんなんだろうな。
本当は、暑さに弱いほーじくんにも、トゥアフェーノにのってもらいたかった。お昼に近付くにつれ、砂がとてつもなく熱くなるのだ。ブーツをはいていても、フライパンの上で煎られているような気分になってくる。トゥアフェーノは荒れ地の動物だから、熱い砂は平気みたいだし、ほーじくんの負担を軽くしたかったのだけれど……。
体力で云えばどうしても、俺とニニくんが足手まといらしい。仕方ないので、俺とニニくんはおとなしくリャクークのせなかにのった。鞍はないし、どうやって掴まっていたらいいのかと思ったけれど、それは問題ない。トゥアフェーノは皮がたるんでいて、それを掴んでも痛くないみたいなのだ。少なくともリャクークはいやがらない。




