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だけど、持っていることは持っている。鎧でも、かぶとでも、胸当てでも、だ。こういうものも、もしもに備えてちょこちょこ買い集めていた。
薬材採集でうろちょろする時、雇った傭兵の防具が壊れるなんて、よくあることだったのだ。
ゲームなんかだとどれだけ攻撃くらっても防具は無事だったり、武器はしっかり持っていたりする。ゲームだからそんなものだろう。
でも、現実では防具は結構簡単に壊れて、鎧が大きくきれてしまったり、もはや防具としての価値がない状態になることはまま、ある。正しいつかいかたと云えばそうだろう。だって、防具がなかったら、人間がそういう状態になっていたのだ。防具の面目躍如である。
それに武器だって、手に縫い付けている訳じゃないからとりおとす。手からすっぽぬけて、そのまま行方不明になることもある。
それに対応する為、お手頃価格の防具や武器を、たまに買っていたのだ。だって、魔物がまだ居るのに武器をさがしにのんきに戦線離脱したり、防具を繕ったりする時間はない。そもそも、金属製の鎧なんか繕えない。板金工とかあったら、そういうひと達はいけるかもしれないけど、生憎俺は魔王である。
だから、すぐにかえられるように持っているのだ。勿論、防具を変更するだけの時間はかかる訳だけれど、それを差し引いても防具なしよりよほどいい。当然じゃん。防具をぶっ壊す魔物だぜ。ぬののふくで挑みたくない。
それが、荒れ地の深いところに放り出されるというこの情況で、役立っている。人生なにがさいわいするか、わからないものである。
実際のところ、傭兵に防具を貸し出し、そのままあげたことは数回ある。大概のひとが、後から銀貨を持ってきて、ちゃんと支払ってくれる。その辺は傭兵はきっちりしてるな。いや、依頼人から防具もらってそのままです、だと、もしかしたら査定に響くのかも。傭兵協会って、それなりに厳しいシステムだよね。
すねあて、籠手、胸当てなど、幾つか渡した。ニニくんは革製の胸当てを身につけただけ、カルナさんが革製の胸当てと金属製のすねあてと籠手を装備し、ミエラさんは金属製の胸当てとすねあてを装備する。
ニニくんは体力が高くないので、重たいとつらいし、癒し手だから一撃でやられない限りは治療できる。なので、攻撃されたらまずい胸を重点的にまもることにしたらしい。
女性陣はニニくんよりも体力があるし、前衛だ。なので、もっとまもりをかためている訳。金属製の防具、重くないのかな。ああ、彼女達は俺よりも体力あるみたいだし、大丈夫なのか。




