表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3756/6868

3615


 三人はきがえをすませ、ミエラさんが手で丁寧にニニくんの髪を梳かしていた。どうやら、魔力はそれなりに戻ったみたいで、三人とも頭を洗ったらしかった。

 俺とほーじくんに気付いて、三人はぱっと立ち上がった。リボンなども置いておいたので、今はミエラさんは髪を紐で結っているし、カルナさんも髪を紐で固定しているらしい。どういう構造かわからん。

 女性陣は、どうにか、丈の長いチュニックをドレスふうに着こなしていた。二枚重ね着しているらしい。横にスリットがはいっているので、ずぼんをはいていないと脚が見えてしまうのだが、ふたりともずぼんははいていないらしかった。ふたりとも体の横に腕をおろし、チュニックを掴んでスリットがひらかないようにしている。

 俺は自分の気のきかなさにうんざりしながら、収納空間をひらき、裁縫道具をとりだした。ミエラさんにさしだすと、彼女はありがたそうに押し戴いて、まずカルナさんの裾を縫いはじめる。


 女性達の身だしなみをじろじろと見ては悪いということで、俺達とニニくんは、ふたりから離れた。背を向けて、見ないようにする。ニニくんは俺よりも少し背が高い。「申し訳ありません、なにからなにまで」

「いいえ。お兄さんを助けなかったら、ルクトくんに合わせる顔がないので」

 ニニくんは複雑そうな表情だ。顔色があまりよくない。

「大丈夫ですか? お水、要ります?」

「僕のことで、ルクトにまで迷惑がかかっていないか、心配していたんです」

 ニニくんの声は湿っぽい。自分に降りかかった災難について話す時は、もっと冷静な声だったのに、今は違う。

「癒し手になるのをいやがるなんて。どうしてあんなばかなことをしたのかって、ずっと考えていて。夢に……きちんと、志望の職は癒し手だと書いて、そういう夢を見ます」

 もごもごと、不明瞭な発音で云い、ニニくんは俯く。「ルクトが御山(おんやま)から追い出されたりしていないだろうか」

「大丈夫ですよ」やわらかく云う。「御山(おんやま)では、癒し手になるのを拒んでも罪にならない。だから、家族がそれをしたからって、奉公人がなにか云われることはありません」

 ニニくんはまだ不安げだが、俺を見てちょっと頷いた。ずっと神聖公国の感覚で生きてきたのだ。俺の言葉は、理屈としてわかっていても、うまくのみこめないのだろう。

 ほーじくんがぼそりと云った。

「自ら廃嫡を願い出るひとや、自分の能力値と相性が悪くてもどうしてもこの職業がいいって、変わった職にするひとも居る。御山(おんやま)は、気にしない」

 ほーじくんなりに、なぐさめようとしたんだろう。可愛い。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ