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「お前はいきものを拾うのが趣味なのか」
俺とほーじくんがトゥアフェーノをつれて戻ると、タスが呆れたみたいにそう云った。
ドライフルーツを振って、ここまでトゥアフェーノを誘導した俺は、手に持っていたドライフルーツをタスに投げつける。タスは右手でそれをキャッチして、口にいれた。
「わたしといい、そこの祇畏士といい」
「いいじゃない。この子にのれば、移動も楽だし。リャクーク、このこわい顔のがタスだよ。レットゥーフェル、わかる?」
トゥアフェーノのリャクークは、ぴい、と元気よく鳴く。ほーじくんが頬の辺りを撫でてあげると、リャクークは嬉しそうに頭をゆらゆらさせた。
砂のなかからもぞもぞと出てきたリャクークは、俺とほーじくんに近付いてきた。足首に傷痕があり、人間に慣れた様子なので、もしかしたら人間に飼われていたんじゃないかな、とほーじくんが云った。
馬車が魔物に襲われた時、弱くて戦えないトゥアフェーノは魔物へのいけにえにされることがある、というのは、聴いたことがあった。だから多分、そのパターンだろう。トゥアフェーノ数頭に馬車をひかせていれば、そのうちの一頭を捨ててもおしくはないというひとは居る。それで命が助かるのならば。
俺の掌に額をおしつけてきたり、ほーじくんの羽を触ろうとしたりと、まったく俺達をこわがらないし、危険な地域に居るにしては元気だった。なので、見捨てられてすぐ、なのかもしれない。それを、使役してつれてきたのだ。
おなかがすいているのか、リャクークはドライフルーツをもりもり食べている。お水と、オーツ麦の甘くないクラッカーも出した。ほーじくんがクラッカーをあげながら、リャクークの鼻面を撫でる。「おまえ、ぼくとおなじの、すき?」
とかげさんととりさんのかわいいやつ!!
にまにましていると、タスが俺を睨んでいるらしい気配を感じた。俺はそちらを見る。タスはぶっと鼻を鳴らす。見慣れると、表情もなんとなくわかるような気がしてくる。多分これは、呆れだ。
「あの三人もつれていくのか」
「そのつもりだけど」
「戦いはどうする」
俺は肩をすくめた。三人の前で、冒瀆魔法はつかえない。タスはそのことを云っているのだ。
ただし、タスは幾らだって冒瀆魔法をつかえる。だって、魔物だもの。そもそも魔につかれている。でも、駆使されているから安全、とあの子達は考える。
俺は低声で云う。「タスがつかってると思ってくれるよ。俺は黙ってる」
「それでうまくいくと思うのか?」
「思う」
即答する。タスは溜め息を吐いた。




