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「ニニくん達の話、俺は信用したいんだけど、ほーじくんはどう?」
振り向く。ほーじくんは小首を傾げ、寸の間黙った。
それから、おずおずと云う。
「信用……していいと思う。けど……」
「けど、なあに?」
「彼らの話を、信じるのと、彼らがマオをどう思うかは、別」
辿々しいが、ほーじくんの云いたいことはわかった。たしかに、幾らニニくんが「消極的な癒し手拒否」という、神聖公への反抗ととられる行動をしたとしても、だから彼らが悪しき魂や魔につかれた者にも甘い顔をしてくれるとは、考えられない。それは、生育環境もだが、こちらの世界の常識的に、無理だろう。悪しき魂だとわかっても態度をかえないひとなんて、ごくまれだと思う。
俺は頷いて、ほーじくんのローブの襟を掴んだ。特に意味はないが、整える。なんとなく、ほーじくんやほーじくんが身につけているものに触れていたかったのだ。
ほーじくんは少しだけ、俺に近付いて、俺の頭に手をあてる。そっと、髪を梳かれた。ほーじくんも、俺と似たような気持ちなのかもしれないな。
「ハイオスタージャの子どもが、捕まったらしいって、聴いた」
「そうなの?」
「そのあとのことは……知らない」
ほーじくんは項垂れて、もそもそと云う。「宣言があったから」
ああ、とかなんとか、俺は云った。
そっか。じゃあ、ほーじくんが宣言するよりも前に、ニニくんは本国に戻って捕まり、強要されて癒し手になったんだ。結婚するように云われたのも、それから間がないのかな。あの子達の話からすると、そんなに間が開いている話ではないような気がする。
ほーじくんは困った眉だ。
「あにさま、が、なにか云ってたけど。ぼく、マオのことでいっぱいいっぱいで、きちんと聴いていなかった」
ほーじくんが申し訳なそうなのが可愛くて、俺は頭を振った。「いいよ。大丈夫。それを知ってて嘘を吐いてるひと達って可能性もあるんだから」
そう、その可能性もある。でも、真実だ、という可能性は、なくならない。
「あんまり、深く考えないことにするよ。結局、助けるしかないんだ。本当にルクトくんのお兄さんだとして、それを見捨てるのはいやだから」
ほーじくんが頷く。
ざっと足許の砂が動いた。ほーじくんが俺の手を掴んで、砂が流れていくのと反対方向へ飛ぶ。埋まっていた骨のようなものが動いていた。
「偸」
ぴい、という鳴き声で、俺は口を噤み、ほーじくんも羽をたたむ。
砂のなかから、トゥアフェーノが顔を覗かせていた。
感想ありがとうございます。はげみになります。
収納空間のごみ……あ、タスに還元してもらえばいいんだった(-_-;)




