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三人がどう思おうと、この情況で収納空間をつかわないのは無理だし、なら勘違いしているままでいい。いちいち驚かれるのも面倒だし、丁度いいじゃん。
あえて、いやほんとは行じゃなくって、俺達だって遭難寸前なんですよ、困りましたよねえ、なんて喋る必要、ないだろう。三人は(なかでも特にニニくんは)かなり大変だったみたいだから、もう助かったんだと思っていてほしい。安心してほしい。
三人が事実を云っている保証はないし、もしかしたらすべて嘘で、なにかもっと酷い犯罪で捕まったのかもしれない。
でも、三人が真実を語っていて、ニニくんは本当に、ルクトくんの母親違いのお兄さんなのかもしれない。
それは俺には正確な判断ができない。だから、一応、三人と行動をともにする。本当にルクトくんのお兄さんだった場合、それを見捨てて戻ったなんて、いやだ。ルクトくんに合わせる顔がない。
それに俺は、三人が喋ったことはおそらく真実だろう、と思っている。
ニニくんが「御山で働いている弟から預かった」と云ったのは、俺が自分の持っている指環を見せる前に、だ。もし、奉公を辞めた俺の同期から奪ったり、騙しとったりしたものだったら、御山云々は出てこない。
仮に指環の由来を知っていて、だから御山をもちだしたんだとしても、「自分が御山で奉公をしていて、同期達とお揃いの指環を持った」と云えばすむことじゃないか?
だってニニくんは、俺が御山で奉公していたことを知らない。そもそも、こんなところで巡り会うとも思わないだろう。だって荒れ地だぜ。俺とほーじくんの額は見ていたけれど、犯罪者じゃないから御山関係者だとは思わない。御山からは遠くはなれているし。
あと、ディファーズのひとというのは見た目もそうだし、喋ってもわかった。だから、ほーじくんという祇畏士が居るから御山に勤めていたという嘘を云わなかった、というのも、ない。だって、祇畏士協会に所属して、入山せずに祇畏士になるひとって、そこそこ居るらしいから。それは、ディファーズ人には当然のことみたいだし。
大体、教師をしていた、じゃないのだ。それこそ、厨房にでも居たという設定にしてしまえば、御山で見たことがないと云われてもいいぬけられる。
こちらの世界では、御山で働いていたというのは、信頼をうる相当な材料になる。




